内容説明
「豆を炒ってください」―居酒屋すずめの清吉に頭を下げたのは、小石川養生所に勤める若き本道医鈴木森之助だった。付け火で店を失い、死病を患っている幸一に、思い出の節分豆を食べさせてやりたいという。時は折しも節分前。清吉おさと夫婦は、あの世への旅立ちまでに間に合わせるよう、最後めし作りに骨折っていた。その頃、番頭とともに逃げた幸一の女房が養生所に現れて…。
著者等紹介
松岡弘一[マツオカコウイチ]
1947年、埼玉県川島町生まれ。1991年に黒豹小説賞、小説CLUB新人賞、新鷹会池内祥三文学奨励賞を受賞してデビュー。1997年、日本文芸家クラブ大賞を短編小説部門で受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nyanlay
2
今回は前作よりも料理のシーンよりその伏線の物語が多く感じられました。なので少し『鬼平犯科帳』とついつい比べてしまいました(同時に読んでいたせいなので)。なのでちょっと物足りなく感じはしましたが、表題作の「嫁菜雑炊」は結構良かったと思います。2014/01/15
micia
2
前作「涙めし」よりはほっこり系ですね。人肌で大切に暖められた、生温かい握り飯、いいですね。2013/08/22
まりりんりん
2
短編4つ。どれもこれもしんみりする話ですが、最後の温いおにぎりには、泣かされました。2013/04/28
はとちゃん
2
待っていました。涙めしの続編。表題作品が特に心に残りました。2012/01/09
チャチャ姫
1
どの作品も気持ちが暖かくほっこりするような作品でした。節分豆の最後に騙されてばかりの幸一の横で、昔のように作十が寄り添って豆を噛み締める・・・最後でも大事な友達に看取って貰えて良かったとちょっとウルウル。2015/04/03