内容説明
荘厳、悲壮、凄惨、哀切、無意味。本書のどの頁を開いても、そこには濃密な死と、そこにいたる濃密な生が描かれている。稀代の名著。
目次
ルイス・フロイス
バッハ
ドラクロワ
マルクス
ツルゲーネフ
市川団十郎・九代目
原敬
津田梅子
田中義一
杉山元〔ほか〕
著者等紹介
山田風太郎[ヤマダフウタロウ]
1922年、兵庫県生まれ。推理小説、時代小説、忍法帖、明治ものなどで名を馳せた、戦後日本を代表する大衆誤楽小説の大家。2000年、第4回日本ミステリー文学大賞を受賞。2001年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ベイス
78
さすがに3巻までくると単調になって飽きそうだが、山田風太郎の筆は全くそんな素振りを見せない。それぞれ味わい深く、ほんの短い伝記のなかにその人物の人となりが立ち現れてくるようだ。高等師範で永井荷風を殴った寺内寿一が収容先で死去のころ、荷風は嬉々として新小岩の風俗街を散歩。この対比の見事さよ。伊能忠敬が一念発起、測量を始めたのが50の時とは非常に励まされる。児玉誉士夫のロッキード汚職にポルノ男優が抗議して特攻服で小型機に乗って屋敷に突入して「戦死」。桐生悠々の辞世の句『こほろぎは鳴きつづけたり嵐の夜』。2023/08/15
鱒子
73
3巻は65才〜76才で亡くなった方々。年齢が高くなるにつれ病死が増えてきました。人の死を面白がったりするものではないんですが、ともかく滅茶苦茶面白い本。死を通して、その人の生が見えてきます。アンデルセンの死は美しい童話のようだし、勝海舟の死は潔く鮮やかだなぁ。2021/08/05
Sam
54
第3巻は65〜76才。平均寿命も見えてこようかという(時代によってはそれを遥かに超える)年齢ではあるがやはり人の死に様は人それぞれであり、興味は尽きない。風太郎先生は本巻でも相変わらず淡々と、ときに辛辣、ときにユーモラスに死を描く。それと、本論ではないが、各年齢の章にあるエピグラフも良い。例えば68才の章にはこんな言葉が置かれる。「生は有限の道づれ旅、死は無限のひとり旅」(山田風太郎)。うんうん、そうだよなあ。2021/11/27
かのこ
41
Ⅲは65歳で死んだルイス・フロイスから76歳で死んだ長谷川一夫まで。Ⅱは無念の死が多かったというか…、作者も暗澹たる気持ちにならないのだろうかと思うくらいの内容だったのだが(それはそれで面白いんだけどね)、Ⅲはそれなりに歳を重ね、人生が一番輝きを放つ瞬間を終えた後の死が多かったので少し心も穏やかに読めた。風太郎先生のお師匠・江戸川乱歩の死や幸福なアンデルセンの死が印象に残った。2021/11/04
金吾
31
○詳しく知らなかった人を少し知ることができるのと著者の人物評が楽しいです。2025/04/16