内容説明
戦後を代表する大衆小説の大家・山田風太郎が、歴史に名を残す著名人(英雄、武将、政治家、作家、芸術家、芸能人、犯罪者など)の死に様を切り取った、稀代の名著。読みやすくなって新装版で登場。
目次
八百屋お七
大石主税
アンネ
森蘭丸
天草四郎
藤村操
山口二矢
ジャンヌ・ダルク
中山忠光
大山信子〔ほか〕
著者等紹介
山田風太郎[ヤマダフウタロウ]
1922年、兵庫県生まれ。推理小説、時代小説、忍法帖、明治ものなどで名を馳せた、戦後日本を代表する大衆娯楽小説の大家。2000年、第4回日本ミステリー文学大賞を受賞。2001年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ベイス
130
古今東西の著名人の「死に様」を死亡年齢ごとにまとめた本。奇本といえるかもしれない。1巻は10代から49歳まで。若くして死ぬ原因にいかに結核の多いことよ。梅毒も目につく。自殺、他殺、処刑も多い。山田風太郎に初めて接したが、短い文章の中に人生がギュッと端的に記されていて実に興味深い。全く知らない人物も多く、知識の「すき間」が埋まっていくような快感もある。それにしても49歳までで既に相当な人物が登場した。彼らの人生の燃焼ぶりと、自分のそれとを比較したとき、なんともいえない気持ちになる。2023/07/22
ビブリッサ
90
裸一貫で生まれ、焼かれるときは衣一枚着せてもらえる。どの人間も、死出の旅路に持って行けるものはこれだけだ。十代から49歳までに亡くなった人々の臨終の一コマを紹介している。一人半頁か長くて3頁、死に赴く人への風太郎先生の情と炯炯とした眼が窺える。まだ若いと言える人々の死はその無念が伝わる。生きていればどんな功績を残したろうと想像する(犯罪者もいるので全員ではないけれど)。侍と言われた人の潔い決着に、やはり武士道教育されているものは違うのか、と。新撰組や赤報隊などが余り好きではない理由は、この潔さがない点だ。2017/08/06
鱒子
77
亡くなった有名人を年齢順に並べ、最期の様子にスポットを当てた本。冒頭の最若年は、八百屋お七&大石主税。しかし、今の自分と同じ歳で亡くなった人が気になって、そこから読みはじめました。なんだか自分がちっぽけに思えますねぇ、比べちゃいかんのだけれども。2021/06/25
Sam
56
こんな酔狂な本を書くなんて・・と驚いたけど、読んでみて(不謹慎ながら)面白かったのでもう一度驚いた。文字通り古今東西の有名人(?)の臨終が15歳から49歳までの年齢順に描かれる。悲惨な死が多いのも事実だが、でもいまみたいに病院でたくさんの管に繋がれて、生きてるのか死んでるのか分からないような状態で死ぬよりは「人間的」って捉え方もできるのかも知れない。それと、ときおり筆者の想いや批評が書き添えられているところがまたよい。体制に与しない気骨のある人であったことが分かる。思わず「人間臨終図鑑2」へ。 2021/07/15
すしな
48
025-25.歴史の年表順ではなく、10代から40代まで亡くなった時の年齢順に偉人の死に様を語るスタイルが新鮮でした。歴史に名を残した偉人たちも、少なからず、私生活でゲスな一面を持っていたことが印象的でした。あと、最盛期には隆盛を極めていても、晩年は寂しく過ごしている人もかなりいて、生きてる時はパッとしてなくても死ぬ時は花を飾りたいという気持ちもわからなくもないなと思いました。その中で、作者から「あともう少し生きていてほしかった」と惜しまれる人物こそ、本当の意味で偉人だったのだと感じました。2025/03/31