内容説明
偉大すぎる父・春水の死は山陽に深い自省をもたらした。心喪三年を誓って欲望を断ちさらに九州へと旅して己を作り替えようとする。そんな山陽を愛し、支えた二人の女性がいた。自ら書画を嗜む才女・細香と、家庭的で気働きのきく若き妻・梨影。二人は山陽の奔放さに翻弄されながらも、その生き様に、当時の女性が知らなかった「自由」の夢を見た。第27回新田次郎文学賞受賞作。
著者等紹介
見延典子[ミノベノリコ]
1978年、早稲田大学卒業直後に『もう頬づえはつかない』を刊行、大ベストセラーに。『頼山陽』で2008年、第27回新田次郎文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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猫草
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全くイメージと違った頼山陽は 鼻持ちならない大風呂敷野郎か…………でも憎めないのは人間の本性をアッケラカンとさらけ出す無防備さかも。妻の健気な様が愛おしい。2015/11/29
POCHI
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山陽の個性、遅まきながら社会というものを理解し成長してゆく姿が面白い。下巻はまだかな?早く読みたい。2011/08/20
ひらり庵
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歴史小説の長編は途中で挫折することが多い私が、本作は不思議と読める。しかし、本作には「風雲児たち」に感じた家制度、幕藩制度の矛盾、息苦しさ、恐ろしさが匂いすらない。これは、頼山陽を取り巻く人々が善人ばかりだからだろう。ゆえに気持ちよく読めるが、歴史小説を読む醍醐味とは違う気がする。2018/09/16