内容説明
一家惨殺事件のただひとりの生き残りとして新たな人生を歩み始めた十一歳の少女。だが彼女の人生はいつしか狂い始めた。「人生は、薔薇色のお菓子のよう」。呟きながら、またひとり彼女は殺す。何がいたいけな少女を伝説の殺人鬼にしてしまったのか?精緻に織り上げられた謎のタペストリ。最後の一行を読んだ時、あなたは著者が仕掛けたたくらみに戦慄し、その哀しみに慟哭する…。
著者等紹介
真梨幸子[マリユキコ]
1964年宮崎県生まれ。『孤虫症』で第32回メフィスト賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とも
786
初読、真梨幸子。いや〜グロい、面白い。読んでて愉快な気分にはならへんけど。理不尽な殺人に戦々恐々。サイコパスとはチョット違う、ほんと自分勝手な理不尽な殺人のオンパレード。「はしがき」と「あとがき」とで上手い事物語の収集もされ、単なるグロい一冊にさせへんとこも良いね。とは言え好き嫌いが分かれる一冊やろうけど。2016/11/09
青葉麒麟
664
新堂冬樹が好きな私には、虐待・解体シーンは抵抗無くサラリと読めた。でも行間から血や脂の生臭い感じがしなくて一寸物足りない。フジコの短絡的な思考には呆れるけど、世界中の何処かに実際にいそうな気がする。読んでてずっと頭の隅っこに兵庫の尼崎の事件が浮かんでた。2013/02/26
風眠
646
すっかり騙されてしまった。あとがき、その次のページの囲み記事、そこまで読んで私は、本当にあった事件だと思ってしまった。でももちろんそんなことはなくて、最後のページの囲み記事までが創作だったのだ。作家の思うつぼである。殺人鬼の物語というよりは、フジコというひとりの女性の人生について考えさせられる物語だった。環境によって歪められていく人格、でもその中の生活しか知らないから間違いだということにも思い至らない。では何が間違いではないのだろうか、正しさとは一体なんなのか、ぷつぷつと毛穴が泡立つ感覚が残る物語だった。2012/04/08
zero1
598
読者は残酷が好き?殺人も人は慣れてしまう?「カルマ」は虐待による負の連鎖?人間の真の姿はこれ?イヤミスの代表作。給食費ももらえず、食事も満足に与えられない女の子。学校でも壮絶ないじめ。「筆舌に尽くしがたい」というのはまさにこのこと。さらに事件が起き、黒い上に黒さが上塗りされている。気持ち悪さ全開のホラーと言ってもいい。人気作らしく、構成はよく練られている。あっという間に読み終わった。連想したのが「OUT」(桐野夏生)とチャップリンの映画「殺人狂時代」。続編は読むか否か検討したい。ダメージ避けられず。2019/02/23
射手座の天使あきちゃん
560
真梨さん降参です! (>_<) 窓ガラスに爪を立てて引っ掻く音を聞かされたような、あるいは運転免許証の更新時に悲惨な交通事故のDVDを繰り返し見せられたような嫌な気持ちにさせられるお話の連続でした、最後の演出も驚きはしましたが気分は更に落ち込みました これだけの読書家さんのレビューが寄せられているので人気はあるのでしょうが、私はもっと人間の善良な一面を感じられる作品が読みたいです、勝手言ってゴメンナサイ!! 2013/03/17