内容説明
東の坂東の地で、阿高と、同い年の叔父藤太は双子のように十七まで育った。だがある夜、蝦夷たちが来て阿高に告げた…あなたは私たちの巫女、火の女神チキサニの生まれ変わりだ、と。母の面影に惹かれ蝦夷の地へ去った阿高を追う藤太たちが見たものは…?“闇”の女神が地上に残した最後の勾玉を受け継いだ少年の数奇な運命を描く、日本のファンタジーの金字塔「勾玉三部作」第三巻。
著者等紹介
荻原規子[オギワラノリコ]
1959年東京に生まれる。早稲田大学教育学部卒。1988年『空色勾玉』でデビュー、日本を舞台としたファンタジーの書き手として一世を風靡、アメリカでも翻訳出版されて話題を呼ぶ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
文庫フリーク@灯れ松明の火
74
かなり間が空いてしまった勾玉三部作。え?オトコノコが主人公なのですか。二連と呼ばれる容姿端麗のワルガキ、藤太と阿高。阿高の中に宿る ましろ―チキサニ。日本史で馴染みある蝦夷―北の星アテルイ―坂上田村麻呂。チキサニの悪路王が気になります。『薄』を取ったらガラスの仮面『紅天女』 藤太と阿高、男同士なのに《魂のかたわれ》という言葉が浮かんでしまいます(汗)輝きだした勾玉とオオカミ犬のちびクロ追って下巻へ。2011/12/18
mayu
69
勾玉三部作③。幼馴染であり友情を超えた絆で結ばれた阿高と藤太。一旦は蝦夷のもとへ連れられ、離ればなれになった二人だが再会を果たす。阿高が母から受け継いだ宿命は重い。それでも、どこまでも一緒に行って見届けようとする藤太の想いは強い。二人に最後まで付き合おうとする仲間も。これから都に行ってどうするのか。チキサニのやり残したこととは何か。悪路王とは何のことなのか。下巻へ。2020/11/28
hirune
68
なんかBLの香りが漂う上巻です。阿高は巫女(女神?)だった母の命と力を受け継いだために、あちらからもこちらからも執着されたり恨まれたり。藤太や仲間がいなければ救われないね。お騒がせのチキサニこと「ましろ」は結構好きだったんだけど、阿高に吸収されてもう出てこないらしいのが、ちょっと寂しい☆2014/07/28
財布にジャック
67
前作の「白鳥異伝」を読んでから、だいぶ時が流れてしまいました。積読本の山に埋もれていたのを、漸く掘り出して来ました。イザナギとイザナミ、そしてヤマトタケルときたので、3部作の最後は誰がくるのかなぁと思えば、なんと私の大好きなアテルイや田村麻呂が登場して、一気にテンションが上がりました。序盤の阿高と藤太は、BL疑惑ありでびっくりなスタートでしたが、厚い友情の物語でした。2012/04/09
ごに
56
勾玉3部作のラストは坂上田村麻呂の時代に時を移します。2部の白鳥異伝でわからなくなっていた明る玉を持つ少年阿高と双子のように育った少年藤太の2連が闇の女神の力に目覚め翻弄されていく前編。珍しくまだヒロインは出て来ませんが、相変わらず荻原さんの書く男の子は魅力的です。阿高が今までで一番闇の力を受け継いでいるようで、もはや人でなくなっているような…?坂上田村麻呂は清水寺を作った征夷大将軍という認識しかなかったので、史実に沿った部分が新鮮で面白く読めます。2015/05/26