内容説明
嬰の勾玉の主・菅流に助けられ、各地で勾玉を守っていた“橘”の一族から次々に勾玉を譲り受けた遠子は、ついに嬰・生・暗・顕の四つの勾玉を連ねた、なにものにも死をもたらすという“玉の御統”の主となった。だが、呪われた剣を手にした小倶那と再会したとき、遠子の身に起こったことは…?ヤマトタケル伝説を下敷きに織り上げられた、壮大なファンタジー、いよいよ最高潮。
著者等紹介
荻原規子[オギワラノリコ]
1959年東京に生まれる。早稲田大学教育学部卒。1988年『空色勾玉』でデビュー、日本を舞台としたファンタジーの書き手として一世を風靡、アメリカでも翻訳出版されて話題を呼ぶ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
財布にジャック
99
下巻では遠子も小倶那も菅流もそれぞれ輝いて見えました。しかし、その中で真太智だけは、ちょっと可哀そう過ぎる扱いで残念でした。勾玉を集め冒険するワクワク感や菅流の明るさと母との葛藤に悩む小倶那の心の闇が対極にあり、バランスの良いファンタジーだと思いました。空色勾玉より個人的にはずっと好きです。最後の方では、畳み掛けるように物語が収束に向かいどうなることかと心配でしたが、うまく着地して気持ちが良いラストです。2010/12/14
文庫フリーク@灯れ松明の火
91
『欲も得も色気も売るほどある』と言い放つ管流が主役喰いのオトコマエ&減らず口のお人好し。葛木蛇神との闘いに臨む管流の、加解姫にかける言葉の優しさよ。真っ直ぐな遠子の心が折れた姿【宮】小倶那の魂に仮面をかぶせた小碓命。けものを眠らせ剣を封じたのは幽の勾玉――御統の力・二人の勇気と捨て身の決断。さても嬉しき幸せな結末・解き放たれた二人は放っておいて(笑)【明】の勾玉・遠子からへだてられた【日高見の勾玉】が気に掛かる。残すは『薄紅天女』のみ。2010/10/12
ごに
83
遠子の哀しい決意から始まる勾玉探しの旅。そう思い込まなければ、遠子には小倶那に逢いに行く大義名分が無かったのではないかと思いました。呪われた剣に運命を翻弄される小倶那が、遠子との再会により“生きる”事を始めて願う。“あなたのため”は必ずしもあなたのためでは無く、許容と言う選択肢も有るのだと言われた気がします。ヤマトタケルがモチーフの話しをどう納めるのか?!それが一番気になって夢中で読みました。最後の菅流との会話に三部作ラストへの予兆が有るのが嬉しいです。2014/12/08
mayu
67
小俱那を探し求めて、困難に負けずに旅を続ける遠子。強い力を持ちながらいつも孤独を抱えている小俱那。どんなに離れていてもお互いを想い、二人が再会を果たした時から物語は大きく動き始める。憎しみだったはずが、変えがたい愛に気づく時。がむしゃらに、ただ真っ直ぐに突き進んできた遠子が手放すことを知り、相手を信じることを知った最後の選択が成長と深い信頼を感じた。立場はもう離れて、昔のままにただ向き合い二人が幸せになれますように。苦しい場面でも明るく助けてくれる菅流の存在も大きかった。2020/10/30
パフちゃん@かのん変更
67
ハッピーエンドでよかった。イケメンの小倶那、やはり物語の主人公は美男美女。菅流がすごくいい人。赤ん坊や子供にも懐かれる菅流のキャラ、いいですね。菅流がいなかったら勾玉は集められなかった。菅流がこんなにも遠子によくしてくれたのはなぜか。『空色勾玉』のカラスとよく似た役どころですね。2016/10/21