内容説明
客の罵声を浴びながらリングに転がる。八百長ボクシングで金を稼ぐおれは、トレーナーの野倉と大型ワゴン“オデッセイア”でアメリカ大陸を漂泊中、ベトナム帰りの二人のプロレスラーと合流。イラン人への手紙をマイアミに届ける過程で、パーレビ国王の隠し財産を巡る闘いに巻き込まれていた。CIAやモサド、マフィアと闘う一匹狼達の群れ。
著者等紹介
船戸与一[フナドヨイチ]
1944年山口県生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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goro@the_booby
21
八百長試合でドサ回りボクサーに腐れ縁マネージャー、ウィスキー・ジョー、ブランデー・ジョーのプロレスラー、元カノとその甥っ子。それぞれの過去を引きずりつつパーレヴィ国王の隠し金探しの旅となるが・・・。船戸作品としては明るいのですがアメリカが抱える問題を捉えつつ展開してゆくのは船戸与一の真骨頂ではないかと思う。儚き物語。2015/04/26
drago @棋聖戦堪能中。
20
デビュー4作目。■解説では、船戸氏は「叛史」と「硬派」の作家であり、本作でその二大要素がうまく融合している、と絶賛。■たしかにイラン米大使館人質事件やキューバとの関係などについて、正史とは異なる解釈が与えられ、宝探しに関しては誰も幸せにならない徹底したハードボイルド。■でも、もう少し夢があってもいいのではないかな…とも思う。11才の少年ぐらい助かってくれても罰は当たらない。船戸小説の本質ではないのかもしれないけど…。 ☆☆☆★★2015/12/06
shiai
16
船戸与一「夜のオデッセイア」(2) 小説と映画の違いについて思ったことがある。登場人物の心理を濃密に詳細に描くという点では、このオデッセイアにはなかったけれど、小説は映画よりも優位にあると言えるだろう。一方、状況を描くといういう点では、小説は映画に劣る。この小説でもアメリカの街の風景などが浮かんでこないのだ。こういう舞台が外国などの場合は、映画があってそれを先に観てから小説を読んだら、小説をより楽しめるのではないか。北上は原作を越える映画などそうあるものではないと書いたが、全面的には賛同できないと思った。2023/10/04
shiai
16
船戸与一「夜のオデッセイア」(1) 読みながら小説と映画の違いについて考えた。 夜のオデッセイア(1981年)は冒険小説をこよなく愛した北上次郎がイチ推しだったから手にとった。福井晴敏「亡国イージス」や有川浩「空飛ぶ広報室」を読んだわたしには北上次郎の受けたような感動は訪れなかった。80年代を席巻した冒険小説は姿を消した、というよりは冒険的なエンタメ小説に進化したというべきではないか。 夜のオデッセイアには登場人物の心理、葛藤が濃密に描かれていない。だから感情移入できず深い感動が得られなかった。 2023/10/04
浦
8
冷静に読めばかなり異常で凄惨だか、なぜか元気な冒険活劇のように進んでいく、奇妙な物語。映画に向いてると思う。是非観てみたい。 2020/03/12