内容説明
太祖趙匡胤の起こした宋王朝。契丹“遼”、女真“金”、蒙古“元”と猛烈な異民族の中国侵攻が続くなか、「抵抗か屈従か」苦渋の選択を迫られつつ、国のために信義と熱情を傾けた士大夫二百余名の凄絶な生の軌跡。堂々たる宋王朝、治乱興亡の歴史。
目次
1 宋王朝の創建
2 宰相群像
3 改革派と保守派
4 抵抗か屈従か
5 三つどもえ
6 南宋の終焉
感想・レビュー
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ぱらーむ
1
歴史学者・與那覇潤先生の『中国化する「日本」』を読んで、初めて知った大帝国「宋」が後世に与えた恐るべき影響。 それをもっと知りたくて宋滅亡後に書かれた十八史略を読んだ。 正直、初代皇帝を始め、宰相や将軍の名前になじみがなくて読むのに苦労したが、科挙制度の完成。文民統制。市場経済の活性化。財政危機と異民族の侵入、都の移転など、次々と目まぐるしく歴史が動いて面白かった。 平清盛が手本とした宋が最後に、平家と同じく海で滅んだのは皮肉だった。2012/03/04
ソルト佐藤
0
十八史略の抄訳は、大体、唐代までしか書かれることがないので、宋代のこれだけ、買ってみる。他の時代は、三国志のように武将の世界だが、ここに来て、『官僚』たちに主役がうつる。それだけ、支配するシステムが完成されてきたのだろう。ただ、ここに書かれる官僚たちには、ああまり、武将たちの荒々しさがすがすがしかった部分は、ほとんどなく。でてくる官僚のほとんどは自己保身か、あるいは、勝手な理想を押しつける。それでも、南宋が滅びる瞬間まで、戦い続けたのも、ある意味、理想に狂っていた文天祥というのが、ある意味哀しい。2015/09/21