内容説明
縄で束ねた蓬髪、彫りが深く浅黒い端整な顔立ち。六尺の長身と鍛えぬかれた逞しい肉体。村正の長物を帯びて栗毛の裸馬で各地を放浪する浪人・伊吹勘之助の用心棒稼業―抗争に明けくれるヤクザや博徒を手玉に取り、悪代官に制裁を加え、果てはお家騒動に巻きこまれたりと伊吹勘之助の活躍を描いた連作四話。市川雷蔵主演:『赤い手裏剣』の原作となった大藪春彦唯一のハードボイルド時代小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
goro@the_booby
54
大藪春彦唯一の時代物の連作短編集。映画「用心棒」を思わせる第一話で義賊を思わせる終わり方だったが、二話以降は百姓一揆までも煽りながら大藪春彦ダーティワールド全開でありました。友と呼べるのは己の愛馬と名刀村正。さすがに大藪御大は武器には優しく、手入れの描写は欠かさないのだ。これはもっと連作を続けたかったのだろうな。久しぶりの大藪作品でした。2023/02/23
mine mune
2
これは大藪に珍しい時代小説。たぶんこれ一冊きりでしょね。 我々凡人が無意識に「強い武家」に求めているものは全て忘れなさいという非情の作風。慈愛とか、矜持とか、そういうの一切合切無し。この乾き具合を刮目せよ。2021/03/18
狂人29号
1
長身、筋肉隆々、美男子。著者の現代編の主人公が、そのまま江戸時代に降臨し、浪人として暴れまくる。敵もコルトや、火薬を使い、一度、剣が舞えば、手足首が飛ぶ。破天荒で、伝奇時代物の原点じみた作品。2014/08/30
ma-no
1
大藪春彦唯一の時代小説。2001/10/19