内容説明
神田小泉町に住む隠居の千切良十内。齢六十三だが、実は現役の十五屋―五、六、四を足して十五の殺し稼業だ。馬の足の治療道具の両刃の馬針を使った技を用いる。相手の腹にこれを刺す。相手は、蚊に刺されたほどにしか感じないが、体内で腸を裂き、三日目に必ず死ぬという必殺の技だ。今度請け負った仕事は、半端じゃない。千両の殺し金、大名―津軽越中守信著をやれという。命を懸けた大仕事だ。
感想・レビュー
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ニミッツクラス
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千切良十内の2作目。馬針が相手の腹に無痛で吸い込まれて行き、そして3日目に死ぬ。長編としての主軸を弘前藩主・津軽越中守信著(のぶあき)への仕掛けに置き、そこに至る迄の殺しや出会いが概ね目次の数だけある。腕の立つ仲間のいない十内にとって、仇持ち浪人石動(いするぎ)との出会いが、物語の構成上どうしても必要であった。殺しは一人50両のところ、今回は千両。カネは足りているが、生きたまま足を洗うという選択肢はない。勧善でも懲悪でもない、殺しの責務だけが十内にのしかかってくる。★★★★☆☆2011/09/05