出版社内容情報
◆デビュー10周年記念作品◆
大藪賞作家が描く
慟哭の犯罪ドラマ
あのとき、
もっと話せていたら
あの人を殺めずに、すんだのかな。
まだ引き返せる。
あなたがニュースになる前に。
【著者からのコメント】
目に留まる短いニュース。
憶測だらけのコメント。
肯定。否定。あふれかえる世間の声と、
拾われることのない当事者の声なき声。
先入観ほど怖いものはないけれど、
人間はそれを捨てられない
生き物なのだとも思います。
それを浮き彫りにする5篇を
書いたつもりです。
プロローグの「私」は、
作者の私かもしれませんし、
あなたかもしれません。
■自宅で血を流した男性死亡
別居の息子を逮捕
■マンション女児転落死
母親の交際相手を緊急逮捕
■乳児遺体を公園の花壇に遺棄
23歳の母親を逮捕
■男子中学生がはねられ死亡
運転の75歳女性を逮捕
■高齢夫婦が熱中症で死亡か
エアコンつけず
新聞の片隅にしか載らない、
小さな5つの事件。
その裏には、報道されない真相がある――。
【目次】
「夕焼け空と三輪車」
「そびえる塔と街明かり」
「ジャングルジムとチューリップ」
「まだ見ぬ海と青い山」
「四角い窓と室外機」
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
もぐたん
54
誰もがどこかで聞いたことのあるようなニュースから始まる、ゾワっとする物語たち。いずれも導入の見出しからは想像もつかない真相に衝撃を覚える。殺意は日常のすぐ隣にあって、いつ当事者になるかわからない恐怖。信頼と裏切りが奏でる不協和音に引き込まれる短編集。★★★★★2025/08/16
akiᵕ̈
28
5つの新聞記事で始まる短編集。どの事件も三面記事で見かけるような身近で起こっている事件。ひきこもり男、内縁妻とその小1の娘と高層マンションで暮らす男、勝ち組でお金に困らないと豪語している妻が妊娠、イジメにあっている男の子に肩入れする地域ボランティアの女性、ひたすら義父母の介護に従事している元保育士の女性。それぞれの身近な人たちに隠されていた真実を知った時の絶望感の醍醐味よ!切ない部分もあったけど、人を利用して生きている人たちの裏の顔が剥がれた瞬間が悍ましい。プロローグとエピローグの構成が深みを増している。2025/08/08
クララ
12
「今日未明〜」で始まる、新聞でよく見かけるような、三面記事が最初に載せられている短編集。つまり結末はわかっている。記事を読んだ時は「あぁ、よくある事件だな」と思って読み進めると、その背景には深いものがあり完全なるイヤミス。もう読んでる最中ずっと、眉間にしが寄っていたと思う。読みたくないけど読みたい。という不思議な読書体験。面白かった。2025/08/15
ま
7
SNSにより自殺した芸人、同級生の弁護士がSNSで個人情報を晒した被告人の弁護を行う、露わになる歌手と芸人の接点。一瞬で広まり、永遠に残る情報化社会の恐ろしさ、同じ意見の者が集うエコーチェンバー、同じ考えが集まるフィルターバブルの危険な現象、個人で発信できるようになっただけの現状。物事は秩序から無秩序に進んで元には戻らない(エントロピーの法則.部屋はいつの間にか汚くなって自然に綺麗になることはない)この世界で常に味方でいてくれ分かってくれる人がいると救われる。一番強いのは諦めない人、生きてこそ。2025/08/17
みかん
7
見事なイヤミス!そしてプロローグとエピローグが効いている。2025/08/11
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