内容説明
5つの物語が織りなす、空港をめぐる出会いと別れ。第一話 十二月の奇跡 ろくでもない人生を送ってきたと嗤う老人は、空港で我が身を振り返る。そんな彼にも身のうちに抱いた宝石のような思い出があった。第二話 雪うさぎの夜 海外で気が向くまま自由に暮らしてきた画家兼ライターのあずさは、久しぶりの帰郷の後、夜の空港で穏やかに生きた亡き母を思う。第三話 竜が飛ぶ空 世界を救う医師を夢見て浪人中の翔太郎は、嵐の空港で、魔法使いのような不思議な男に出会う。亡き父に似たそのひとの正体は? 第四話 屋上の神様 子どもの頃から、涙をこらえ、頑張ってきたタクシー運転手の今日子。思わぬ病を得て気弱になった彼女が空港の屋上で出会ったのは、二匹の狐とそして― 最終話 夢路より 出張のため、都会の空港に降り立った司。ストリートピアノを奏でる青い目の老婦人になぜか懐かしそうに声をかけられ―
著者等紹介
村山早紀[ムラヤマサキ]
1963年長崎県生まれ。『ちいさいえりちゃん』で毎日童話新人賞最優秀賞、第四回椋鳩十児童文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
COSMOS本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
213
村山 早紀は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。「風の港」の続編は、空港ファンタジー連作短編集でした。オススメは、『第一話 十二月の奇跡』&『最終話 夢路より』です。 https://www.tokuma.jp/book/b657481.html2025/02/23
いつでも母さん
143
風の港のシリーズになるのね。再会の空とある。確かに再会を感じる空港が舞台の短編集。前作よりファンタジー感が強い・・で、村山さんだから優しく読まされる。好みは『屋上の神様』『夢路より』あぁ、飛行機で旅とは言わないから(言いたいけれど)せめて送迎デッキに行きたい(笑)今は・・今は無理なんだよ・・2025/03/06
しんたろー
141
第2弾は前作よりファンタジーが色濃くなった5つの短編…前作では各話の主人公が緩く繋がっていた趣向は、本作では 完全に独立した話になっていて、繋がっている方が好みなので少し残念。それでも、主人公に何かしらの憂いや痛みを持たせた設定が親近感を呼び、彼らに寄り添って読めた。著者らしい優しさと温かみに満ちた文章、主人公が前向きになる結び方が気持ち好い読後感。前作読了後には羽田空港を散策したが、再訪して一日中遊んでみたくなった。それにしても楽しみにしている『コンビニたそがれ堂』の新作はいつになるのですか、村山さん?2025/03/06
あすなろ
133
待ってました風の港2である。羽田空港とは一言も出てこないが、羽田空港での短編集2巻。空港、特にターミナル空港に於いては、確かに会える筈のない相手がふと何処かから顔を出しそうな瞬間がある様に思う。それは、色々な想いを持って待合いの時間があるからなのか。或いは人生を旅路だと捉えるのであれば、空港は乗り換えのターニングポイントだからなのか。僕は作中に出て来る旅慣れたビジネスマンの一人でしか羽田空港を利用する事はないのであるが、そんな想いにふと駆られる事もある。空港とは思えば不思議な場所なのかもしれない。2025/02/24
モルク
119
空港ターミナルが舞台の5人の主人公たちの出会いや過去の関わりを描いた5話の短編集。一作目より更にファンタジー要素は強めである。1話目の「十二月の奇跡」が好き。顔に傷痕を持ちお金はあるが孤独な老人の懐かしい人との再会。あの時の彼の「おまえは、まっすぐに生きるんだ」の言葉にしたがって生きてきた当時の少年との再会はグッと来る。空港ってなんか心をいやしてくれる場所だよね。用はなくとも送迎デッキで飛び立つ或いは帰港する飛行機を見ていると飽きないし時間を忘れてしまう。こんな摩訶不思議なことがあるかも…って思える場所。2025/03/31