出版社内容情報
ヒバリを見に荒野に出かけた兄弟は、季節外れの雪で道に迷い…? 兄弟の絆をドラマティックに描く、カーネギー賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
79
YA。児童書。イギリス北部ヨークシャーに住む兄弟は愛犬を連れて荒野にハイキングに出かける▽兄のケニーは軽い知的障害があり特別支援学校にかよっている。母親は兄弟が幼い頃に、家を出ていった。父親はアルコール中毒を克服し、新しい父の恋人は頼りになる女性。しっかりものの弟、ニッキーは寂しさや苦労を表に出さず、ケニーの面倒を見ていた。荒野に降ってきた季節はずれの雪に戸惑い、兄弟は遭難してしまう。冷たい荒野をさまよいながら、ニッキーは家族のことを考える。▽家族の絆を考えさせられる。2022/04/10
Roko
31
復活祭のお休みに、ニッキーと兄のケニーは愛犬のティナを連れてヨークシャーの山へハイキングへ出かけました。もうすぐ春だからヒバリが見られるのを楽しみにしていました。でも、途中から雪が降ってきて、道に迷ってしまって、今自分たちがどこにいるのかわからなくなってしまったのです。 ケニーのことを助けなくっちゃって、ずっと思っていたニッキーが、時にはケニーに助けられることもあるんです。楽しいときも、つらいときも、一緒に過ごしていく時間を大事にしてふたりは成長してきたんです。2022/04/12
NakaTaka
9
イギリス。ニッキーには軽い知的障がいのある1歳上の兄ケニーがいる。その兄と飼っている犬ティナと一緒に荒野にヒバリを見に行ったが、季節外れの雪に苛まれ、遭難してしまう。たった一日の出来事だが、気持ちを抑えて生きてきたニッキーの思い、遭難の切迫感でハラハラする。貧困、母の失踪、父のお酒の問題。だが、しっかりとした愛情が物語を貫いている。ティナに泣けた。2020年英国カーネギー賞受賞。2022/10/22
そらこ
9
ヨークシャー州。ニッキーは、知的障害のある兄ケニーと、父親に薦められたノース・ヨーク・ムーアズ国立公園へでかける。日帰りの予定が、出発が遅れた上に、雪が激しく降り、寒い荒野を彷徨うことに。ニッキーが一人称「おれ」で語る。旅の合間には、幼い頃出て行った母親、自暴自棄になった父親などの回想が差し挟まる。ニッキーは兄のために自分の感情を隠し、旅でも当たり前のように兄を思いやり励ます。その健気さに心打たれる。一方で兄の素直な言葉やおふざけが、ニッキーを笑わせ支える。家族、人の間に温かいものがが静かに通っている。2022/05/27
遠い日
9
父の勧めもあり、復活祭の休暇中にバスを3本乗り継いで公立公園まで、ヒバリを見に行ったケニーとニッキーの兄弟。軽いハイキングくらいの気持ちで家を出てきたのに、思いがけない季節外れの大雪に見舞われて、雪中で遭難してしまう。苦しい歩行の中、彼らの暮らしが語られる。母の失踪、アル中だった父、兄ケニーは軽度の知的障害を持つ。ニッキーがケニーに寄り添い続けたことも明かされる。崖から転落し怪我をした体で、ケニーに指示を出すも、暗転。ニッキーの独白とがんばってきたこれまで。家族愛のなんたるかを最後まで語り尽くす物語。2022/04/16