内容説明
中国ビジネス、外交、最新情報を理解するための根本問題を解き明かす!
目次
第1章 中国人理解の鍵は「〓(ほう)」にあり
第2章 「〓(ほう)」を取り巻く多重世界
第3章 中国共同体のタテ糸「宗族」
第4章 中国人意識の源流に韓非子あり
第5章 中国の最高聖典、それが「歴史」
第6章 中国市場経済はどうなっているか
著者等紹介
小室直樹[コムロナオキ]
1932年東京生まれ。京都大学理学部数学科卒。大阪大学大学院経済学研究科中退、東京大学大学院法学政治研究科修了。マサチューセッツ工科大学、ミシガン大学、ハーバード大学に留学。1972年、東京大学から法学博士号を授与される。2010年没。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ころこ
34
前半「帮」(ホウ)と「情誼」(チンイー)で中国社会の人間関係を説明していて、それこそエビデンスが無いトンデモ本かと思ったが、「宗族」を論じる第3章から一変する。第3章では「姓」の中国と「苗字」の日本を比較して、むしろ日本の特徴をあぶり出している。中国では「姓」は絶対だが、日本では「源」「松平」「徳川」とひとりが複数苗字を持ったり、そもそも天皇は苗字が無かったりと、入れ物としての「イエ」に対する示唆に富む指摘がなされる。第4章ではこの比較がヨーロッパ対日中に対して行われる。「レッセフェール=老荘思想、ケイン2023/07/08
Mark X Japan
11
具体的な事象ではなく、歴史的な視点から中国の二面性をときほどいています。久しぶりに著者の慧眼に触れました。☆:4.52021/12/11
toshibo
2
中国でビジネスをするには、何が大事か。それは、人間関係だという。人間関係には、中心に、幇(ホウ)というのがあって、その周囲に、情誼(チンイー)がある。さらに、関係、知人と関係が薄くなる。契約を結んだとしても、それは単に知人になっただけ。スタート地点に過ぎない。だから、簡単に裏切られる。情誼(チンイー)まで関係が深くなる必要がある。そして、幇(ホウ)まで到達すれば、契約書すら必要なくなるのだとか。日本で言う、義理、人情みたいなものと考えれば良いのでしょうか。2025/03/11
greenman
2
明晰でわかりやすい中国社会の構造分析。出版から20年以上経っても本書の分析が通用しているのは、分析の正しさが証明されたからだと言える。「幇」という関係の絶対さ、「情誼」という関係の濃淡がヨコにあり、「宗族」という姓の血縁集団がタテとして中華社会の混流にある。これを上から規定しているのが顕教である「儒教」と密教である「法教(法家)」で、これが中国特有の統治や官僚主義の大元になっているといえる。結局法治も人治も人間関係の濃淡で決まるところに、中華世界の凄さと限界があるように思う。2024/04/29
紗華
1
特殊というか外国人にとっては異質な文化が中国社会に深く根差している。人間関係は帮(ヨコの関係)と宗族(タテの関係)から形成され、内集団と外集団とでは待遇に大きな差がある。ゆえに外国人が到底関与できるものではない。欧米資本主義的な契約がいたずらに破棄され困惑するように資本主義社会からは理解し難い感覚である。情誼というビジネスネットワーク、キリスト教の未普及、政治の成否など多くのことが異質な文化により説明できる点は非常に興味深い。中国は歴史に学べとのことなので、韓非子・三国志・論語を読むことにする。2023/12/23