出版社内容情報
SNS上の怒りの声はなぜ当事者でない人まで自分の怒りと同一視させて、許せないという気持を蔓延させるのか。社会病巣を抉る。
内容説明
スマホの画面の向こうには、匿名の歪んだ正義が渦を巻く。ジェンダーをめぐる炎上、ナイナイ岡村「風俗発言」、「テラスハウス」出演者攻撃…。24時間「許せない対象」を探して怒りを求める。これがサイバー空間の異常実態だ。
目次
序章 「怒りの万引き」がやめられない
第1章 女が許せない
第2章 男が許せない
第3章 LGBTが許せない
第4章 性表現(規制)が許せない
第5章 ジェンダー依存がやめられない
終章 「無限刃」から「逆刃刀」へ
著者等紹介
坂爪真吾[サカツメシンゴ]
1981年10月21日新潟市生まれ。東京大学文学部卒。2008年、「障害者の性」問題を解決するための非営利組織・ホワイトハンズを設立。新しい「性の公共」を作る、という理念の下、重度身体障害者に対する射精介助サービス、風俗店で働く女性の無料生活・法律相談事業「風テラス」など、社会的な切り口で現代の性問題の解決に取り組んでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
55
「怒りを捨てよ。慢心を除き去れ。いかなる束縛をも超越せよ。」(Dhammapada)。義憤にしろ私憤にしろ、ツイッターは怒りに満ち溢れている。本書は主にジェンダー関係の怒りを解説した一冊。自分は主に「宇崎ちゃん」騒動で興味を抱いていたので本書を手に取る。それぞれの立場ごとによくまとまっていて、ネット上の地獄絵図がよくわかる。まあ怒りはジェンダーに限らないんですけどね。「○○は反日だ」という作家やら「叩き斬ってやる!」と吠える教授やらニュースにもなっていたし。人生を穏やかに過ごすのはかくも難しい事か。2020/09/27
naginoha
37
「許せない」がやめられない人達を、高い所からバカにしてるのをにじませながら違う人種のように扱っているけれど、あなたもそんな気質持ってますよね?いくら論理的に言葉を並べても、そういう所何か生理的に受け付けないなあって私は思ってしまうんですよね。3/52021/12/22
marumo
18
SNSをさまよって他者の怒りを「万引き」することによって、途切れることなく「怒り」という麻薬をキメ続ける人々について。テラスハウスの事件やナイナイ岡村の舌禍について早くも言及していた。許せないとされる対象にジェンダーが深く関わるよう。容貌コンプレックスが強い、不本意の禁欲主義者「インセル」など、知らなかった言葉が多出。勉強になったよ。私は実生活では怒ってばかりいるけど、赤の他人のアレコレに怒りを燃やして依存するという気持ちがピンとこない。ムカつく上司の悪口の方が盛り上がると思うけど。2020/09/04
zel
13
なるほどと。SNSでの「許せない」がどうやめられないかについて。わたしはジェンダー依存ではないと思うけれど。わたし自身を思い浮かべながら読んでた。LLL。けど考えさせられた。ジェンダーについては、今後も考えていけたらいいと思う。コネクション、大切にしたい。2021/05/06
まゆまゆ
13
snsで他人の怒りを借りて自分の怒りを爆発させる人たちはなぜいなくならないのかを、フェミニストやミソジニ-、LGBTなどネット上では「女尊男卑」である現状を紹介しながら多様な視点から語る内容。「許せない」という気持ちは失くならず、他者を否定する言葉でしか自身を肯定することや自身の不遇を表現できない人たちは、もはや依存症である。依存症であれば、対義語は「つながり」である。分断からの社会的孤立がsns炎上を引き起こしている、との指摘は興味深い。2020/08/05