出版社内容情報
秀吉、家康…時の権力者から国を守った、名門足利の血を引くふたりの姫の「女子の戦」。操觚の会×地方自治体コラボ小説第一弾。
内容説明
石高わずか五千石の小藩・喜連川藩は、なぜ十万石の大名同様の扱いを受けたのか。その裏には、名門足利氏の血を引くふたりの姫君の存在があった―。小弓公方の家に生まれ、美しく武芸にも優れた嶋子は秀吉の側室となりお家再興を願う。父の逝去を受けわずか九歳で古河公方の家督を継いだ氏姫は嶋子の弟、足利国朝に嫁ぐ。豊臣秀吉による関東・奥州仕置、関ヶ原の戦いに勝った家康の幕藩体制強化。ふたつの大きな危機を乗り越え、小藩存続に尽力したふたりの姫の戦いを描く。
著者等紹介
神家正成[カミヤマサナリ]
1969年愛知県春日井市生まれ。陸上自衛隊勤務を経て、依願退職後は韓国に留学。2014年『深山の桜』で第13回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞、2015年同作でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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サケ太
18
それは運命的な巡り会わせをしながらも、分かたれた数奇な二人。戦国の世にあって、憎しみと欲が男女の絆を脅かす。しかし、想いは常に側にあった。様々な人物に翻弄される運命。掛けられた呪詛とかつての誓い。「天は要る刻に要るものを授けるが、自ら助くる者しか、それを得ることはできぬのだ」。男の戦。そして、女の戦。戦い抜いた二人への結末。『さくらを咲かせるために、多くの人が想いを一つにしてくれたのだ。』二人を見守り、支える優しい人々がいた。二人の想いを残す“喜連川”。それが今もなお存在する。それが嬉しい。2020/03/01
びぃごろ
12
関東の地に住む二人の姫の物語との前情報で読む。織田信長が打たれる前年に嶋子と惟久は出会い、秀吉の側となり、燃える大阪城から甲斐姫が率いてきた天秀尼を救い出し、88歳の生涯を閉じる…実在した人物だと思うと凄い。嶋子と惟久、氏姫と国朝の婚姻関係からこのような物語を紡ぎだすとは。。。大切な人を思う気持ちが半端ないのでござる。切ない。。。嶋が秀吉、正宗、三成とやり合う鮎の場面は印象的。2020/07/22
みいやん
8
足利の血をひく女の戦いが中心に描かれているが、いまひとつひきつけるものがなかった。2020/04/19
mitubatigril
7
室町幕府の祖足利尊氏の血を受け継ぐ二人の姫の生涯を移り行く戦国の世を男だけではなく女にも女にしか出来ない戦いを挑みながら生きて行く。 珍しく男性作家の方が女性を主人公に戦国の女性を置いた作品でも読みごたえありです。2020/04/12
茶幸才斎
6
関東古河公方、足利家の血を引く2人の姫君。公方家傍流の足利頼淳の娘の嶋姫は、下野国喜連川の塩谷安房守惟久を伴侶とする一方、古河城をあずかる公方家直系の氏姫は、周囲に頼る者なく無力感にとらわれる。やがて、北条家を敗った豊臣秀吉の手勢が下野の地に迫り、突如、塩谷惟久が嶋姫を置いて出奔した。2人の姫は、豊臣から徳川へ移りゆく時代の趨勢に翻弄されつつも、懸命に己の生き方を模索する。かつての日常は取り戻せず、状況が刻一刻と変化する中、大切なものを守るため、何を許容しどう行動するか、感度の高い暮らしぶりが求められる。2020/07/16