出版社内容情報
社会が大きく変化しつつある昭和30年、心中とされた母の死に疑問を持った美人英語教師の復讐と愛。事件の背後に政界の闇も…。
内容説明
国立大学を卒業し、名門私立女子校で英語教師として働いていた十希子は、突然、母の死を知らされる。商社の男と心中したというのだ。男は資金課長で、鉄鋼会社との架空取引に関与したとして、検察に召喚される寸前だった。昭和30年、神武景気が始まり、社会が沸くなか、前年の造船疑獄など、汚職事件が頻発していた。母は事件に巻き込まれたのか?死の謎を解くため、十希子は母の勤めていた高級料亭に飛び込み、仲居として働き始める。真相を探る過程で見つけたのは…。愛と復讐のせめぎあい!事件の真相が明らかになるとき、愛は続くのか。衝撃のラスト!愛はサスペンス!書下し。
著者等紹介
山口恵以子[ヤマグチエイコ]
1958年東京生まれ。早稲田大学文学部卒業。松竹シナリオ研究所で学び、二時間ドラマのプロットを多数作成。その後、丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務しつつ、小説執筆。新鷹会会員。2007年『邪剣始末』で作家デビュー。2013年『月下上海』で第20回松本清張賞を受賞。2014年食堂を退職、作家専業に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ウッディ
135
高級料亭の中居として働いていた母が、温泉宿で家庭のある男性と無理心中した事を知らされた名門女子高の英語教師の十希子。婚約者に捨てられ、教師を続ける事も出来なくなった十希子は母の汚名を晴らすため、料亭の中居になって真相を探る。昭和30年代、高度成長期の汚職を描き、純粋な十希子が少しずつ強かな女に変わって行くストーリーは、松本清張の小説を彷彿とさせました。母への想いと糸魚川への愛情は矛盾しないのか、女性って怖いという思いを抱きつつ、地味ながら面白かったという感想です。2019/06/29
やっさん
126
★★★★☆ 舞台は戦後まもなく。母の謎の死をきっかけに恋人や職業を失った十希子が、母の死の真相を探る話。まだ女衒が世間に残っている時代であり、十希子の壮絶な半生にあっという間に感情移入。2019/11/29
モルク
87
食堂のおばちゃんののりで読み始めたが全く違う!!昭和30年、主人公十希子は私立女子高の英語教師として勤務し、同僚の教師と婚約の運びとなるなか、高級料亭の仲居として働く母が心中する。それにより婚約者は去り、職も追われ、母が勤めていた料亭に勤務し、母の死の汚名をはらすべくを調査する。そして贈収賄疑惑という政界を揺るがす大事件の真相にまで身体をはって迫り…。大胆な行動をとる十希子。十希子がこんなに美しくなければ、男を手玉に取り情報を得ることはできなかっただろうと思うとちょっと複雑な想いがする。2020/08/18
野のこ
86
装丁のオードリーヘップバーンのような凛としたお嬢さんが主人公。サスペンスドラマのようで読みやすく、昭和30年のモダンな東京の雰囲気が味わえるのが良かったし、華やかな高級料亭の隠れた裏側がのぞけたのも興味深かった。タイムスリップしてお洒落をして帝国ホテルや山の上ホテルでお食事してみたいって思いました。母の復讐のため男性たちとの関わりに心配したけど、十希子の心が強くてこの先 希望が持てる読みあじ。2019/05/14
ゆみねこ
81
濃い目の昼ドラ的な作品❨褒め言葉❩です。名門女子高で英語教師をしている十希子が、突然母の死を知らされる。年下の商社の男と心中したと。母の死に不審を抱いた十希子は母の勤めていた料亭に仲居として働き、真相に迫って行く。高度成長期の少し前の東京の雰囲気も楽しめる1冊。2019/03/23