出版社内容情報
少女はいつも見つめていた。幸せそうな家族を。ライフガードの青年を…。問題に苦しむ若者たちを繊細かつミステリアスに描く。
内容説明
ライフガードの青年、幼い妹のめんどうをみる少年、階段にすわってふたりを見つめる少女。そのとき三人は、他人にすぎなかった。けれども…?三人の若者の心理を繊細に描き、ミステリアスなタッチで一気に読ませる米国のロングセラー。10代~。
著者等紹介
ハウ,ジェイムズ[ハウ,ジェイムズ] [Howe,James]
1946年米国ニューヨークに生まれる。ボストン大学卒。子ども向けのお話やYA向けの小説を九十冊以上出版。なかでも、『なぞのうさぎバニキュラ』(福武書店)は、ドロシー・キャンフィールド・フィッシャー・チルドレンズ・ブック賞をはじめ、数々の賞を受賞した。ニューヨーク在住
野沢佳織[ノザワカオリ]
1961年生まれ。上智大学英文学科卒業。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネロリ
55
とても幸せな読書時間。 13歳の少女、14歳の少年、ライフガードの青年。同じ砂浜にはいるというだけの接点しかない三人。互いを見つめ、想像の世界に入り込み、自分の悩みと向き合う。 描写に、作者のとても優しい眼差しが感じられる。 10代以上に推奨される児童書だが、年齢は関係ない。 彼らの悩める道に、没入すべし。2021/09/06
yumiha
37
お互いに見つめていただけの日々。マーガレットにとって幸せそのものに見えたエヴァンもかっこいいクリスも、それぞれ悩んでいる。って、当り前だよね。完璧なものも、いつかは壊れる。ほしいものが手に入るとは限らない。と、もうすでに若くない読者(私)は知っているけれど、少年少女たちは求めてしまう。そして、衝撃のラスト。ここで交互に字体を変えて盛り込まれていた童話を誰が書いたのか、「けだもの」「人形」の正体も見えてくる。アメリカのYAにしては、少し物足りなかった。2019/08/23
星落秋風五丈原
31
見つめている側も見られている側も互いに意識しながら物語が進む。見つめていたのは見て欲しかったから。2020/01/31
クサナギ 「読んでる本」=「バイブル本」
14
どこか壊れてしまった大人たちと、そうならないようにもがき苦しむ子どもたち。読んでいて、なぜか『はみだしっ子』が浮かびました。エヴァンが好感度高かった。2017/08/08
遠い日
9
リゾート地の夏の海辺。マーガレットとエヴァンとクリスの三者三様の視点が交錯していく。ただそこにはお互いの繋がりはない。あるのは「視線」だけ。見ている、見られていると知りながら、なんの接点も持とうはしない彼らを、徐々に時間が近づけていく。相手の暮らしに想像を膨らませる。それは自分にはない家庭環境や家族の温もり。読者にだけ見えてくる彼らの置かれたどうにもできない事情。子どもの苦しみの深さが痛々しい。マーガレットの不可解な行動が一気にラストの救いを連れてくるが、真の解決に至るかどうかの懸念が残るのがやるせない。2017/09/01
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