内容説明
「なおす」という言葉がふたつの意味を持った。かつて「殺し屋」と呼ばれていた者は「なおし屋」となり、かつて「修理屋」と呼ばれていた者も「なおし屋」と呼ばれている。男はこわれたものをなおし、女は男をなおしてゆく。都会の片隅のシュールでコミカルな日常と秘密を描く現代の寓話。
著者等紹介
吉田篤弘[ヨシダアツヒロ]
1962年東京生まれ。小説を執筆するかたわら、クラフト・エヴィング商會名義による著作とデザインの仕事を行っている。2001年、講談社出版文化賞・ブックデザイン賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
98
吉田さんの「月とコーヒー」「それでも世界は回っている1,2」を読んでわたしのフィーリングにあった気がしたので、しばらくこの作者さんの作品を探索しようと思いました。この作品も長編のようではたまた連作のような不思議な感じがします。はっきりとした筋らしいものはあまり感じられませんがさらっと読めてしまいます。ふしぎな小説だと思いました。2023/12/31
ユメ
48
篤弘さんのつける章題が好きなので、目次を眺めるところからもう読書は始まっている。衝動に突き動かされてこわれたものを修理する「なおし屋」の男たち。そして、その男たちをなおそうとする女たち。これは人類史上前代未聞、男と女の戦争なのか。最後まで読み終えても、全貌は掴みきれない。そこで響いてくるのが「曇り空の独奏者」に登場する男の言葉。「偶然を孕んでいないものなど何の価値があるでしょう?」偶然があっちへこっちへ転がった先に明日がある。この壮大な物語の始まりも偶然なのだとしたら、生きるとは愉快なことだと私は思う。2016/07/03
ケイ
39
吉田篤弘三作目。なんだろう、全然違う作家が書いたみたい。甘さとか優しさとかどこにもなく、前半では何の陰謀があるのか悩むばかりだった。物を直すと、製品が売れなくなるって、当たり前で、普通は新しい商品は、男が欲しがるもの。なのに、男たちが直し始めるのに対してとられた政策がとこまで本当なんだか…。難解で、頑張ってはみたが、解読は出来ませんでした!ってところかなあ。2013/09/27
Natsuko
31
今まで読んだ吉田さん本と少々違う感じ、主人公の「俺の横に寝る女〜」発言のテイストは、今まで聞いたことなかった。オトナの寓話カテゴリーではあるものの、モノを修理したくてたまらない「なおし屋」語りも、だいぶシュール。こんな感じもあるのかーのままサラッと読了。私としては、もっと寓話よりが好み。2025/06/15
ハミング♪♪@LIVE ON LIVE
29
一体全体どうなっているのか、それは読んだ人にしかわからない。いや、読んでもわからない。世界は混沌としたものによって、流されているんだな、時間とともに。2019/06/05
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