内容説明
群馬県の田舎町で起きた夫婦殺害事件。警察は被害者の幼馴染で建設現場労働者の大船貢を逮捕した。全くの濡れ衣であったが、逮捕・裁判の過程で、貧しいながらも幸せだった家庭は一挙に崩壊した。三女・典子は看護師として働いていた。ある日、元教師の老人が入院してきた。毎夜うわごとを繰り返す老人の言葉は、偶然、冤罪事件に関係したものだった。意外なところから、真相をつきとめる手がかりを得た典子は、冷たい復讐の心を宿しながら謎を追い始める。書下ろし長篇社会派ミステリー力作。
著者等紹介
麻野涼[アサノリョウ]
1950年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。サンパウロのパウリスタ新聞社勤務を経て、78年帰国。高橋幸春名義でノンフィクションを執筆。87年『カリブ海の「楽園」』で第6回潮ノンフィクション賞受賞。91年『蒼氓の大地』で第13回講談社ノンフィクション賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆみねこ
68
父が冤罪で投獄され、最高裁で無罪が確定した。その間に妻と長女は自殺し、次女は失踪、事件当時小学生だった三女は看護師として緩和病棟で働く。そこに一人の男が入院してきて、物語が一気に動く・・・。後半は、この男のゲスさと、そこまで死にかけている人を痛めつける?とも思ったけれど、人生を狂わせられた人の気持ちは想像出来ます。真犯人にはビックリです。2016/12/17
きさらぎ
45
読友さんのレビューでこの作家さんを知りました。読みたかったのは別の作品だったけど、予約待ちなので棚にあったこちらを先に読んでみた。冤罪事件の復讐がテーマ。犯人に仕立て上げられた男と家族の置かれた辛い状況には読んでいて苦しくなったが、簡潔な文章で淡々と語られるため、さほど重くは感じなかった。後半の復讐と真相が明らかになっていく様子が小気味よい。犯人探しのミステリーとしてもよくできていたが、タイトルはなんとかならないのか?文庫化で「誤審死」となっているが、それもピンと来ないような。でも面白かった!2015/03/13
羊のふかふか
15
冤罪、陵辱、自殺、重くやり切れない話の筈なのだが、何故かサクサクと軽い仕上がりに感じてしまいました。で、ラストが雑な感じ……リンチとかちょっと違和感があるし犯人ももっと付加価値付けて欲しい、アッサリ出すぎ……でも、面白かったです。2015/03/25
菜の花畑
13
殺人事件の冤罪に巻き込まれた家族。父は10数年を経て無罪となった。その間長女は自殺、次女は行方不明、母は精神を病み無罪判決後間もなく病死した。看護師となった三女は地元の緩和ケア病棟に勤務。そこに元教師の男が入院して来る。そこから看護師と元教え子の介護士によるエグい復讐が。全体的に重苦しい展開だか、犯人は他にいて驚いた。それにしても冤罪は、どうしたらなくなるのか。 2019/02/03
petitlyz
12
父親が2人の殺人の罪に問われて裁判に10年もかかって冤罪だった。その妻も体調が悪くなって早くに亡くなり、父親本人も後を追うように亡くなった。4人いた子供のうち2人もやはり他界。三女が看護師として働くうちに、その事件に関わりがあると思われる人物を見つけて復讐していく。時効が過ぎているし、復讐するのが当然という気持ちもわかるけれど、かなりキツイ内容だった。2025/06/11




