内容説明
北前船の着く湊町は賑やかで慌ただしい。銭と汗の匂いのする町を舞台に、想い人を待ち続ける元遊女や、三十年間、敵討ちの漂泊の果て、故郷に戻ってきた絵師、飢餓から逃れ数十年、行方の知れなかった兄と邂逅する古手間屋、米相場の修羅に生きる男など、心を打つ六編の物語。
著者等紹介
北重人[キタシゲト]
1948年、山形県酒田市生まれ。1999年、「超高層に懸かる月と、骨と」で第三八回オール讀物推理小説新人賞を受賞。2004年、『夏の椿』が松本清張賞の候補作となりデビュー。2007年、『蒼火』で第九回大藪春彦賞を受賞。2008年『月芝居』が第二一回山本周五郎賞の候補作となる。今、最も期待されている時代小説作家の一人である(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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遥かなる想い
102
北の湊町を舞台にした時代小説の短編集である。全編に通じる清洌な雰囲気が 北国の情緒を感じさせる。 どの短編も同じトーンになりがちなのが、 少し残念…藤沢周平の世界にも似た 時代小説の世界…運命に翻弄されながら ひたむきに生きた人々の物語だった。2022/08/03
じいじ
66
北重人の2作目は、50頁ほどの6短篇集。情景・人物描写は、やっぱり著者独自の巧さを感じます。ちょっぴり控えめの官能場面もあって飽きずに読めました。今作の舞台は、北前船の寄港地の湊町。むかし廓で売れっ子だった志津は、今や50歳を間近にしても、その色香は衰えてないようです。読み手の私は、80歳を過ぎてから色気より食い気なので、志津の注文したお燗と桜ますの焼き物、鯛の昆布締めが旨そうで気になりました。2024/07/21
天の川
61
江戸時代の湊町の水潟を舞台とする端正な6編。著者の出身地である酒田がモデルと思われる水潟は米の積出港、物流の拠点として栄えた町だ。航海に命を懸ける船乗り、積み荷を待つ問屋、米の相場師、料理屋や女郎、そして支配階級の武士…。主人公はいずれも人生の年輪を重ねた人々で、湊町ならではの海との命のやり取りに鍛えられた強い心を持つ。その強さに惹かれる話ばかりだった。もっとこの作者の作品を読んでみたい。2024/06/05
クリママ
47
6編の短編集。山形あたりだろうか、北前船が寄港する湊町を舞台に、そこに暮らす人たちの心情を描く。端正な文章であるのにしっとりとした情感が溢れる。大切な人を待ち続ける気持ち、貧困のため生き別れた兄弟への思いなど、時代は違えど、それぞれの思いがすっと心に入ってきて、切なく、祈るように読んだ。ただ、後半2編、嫁いだ娘の浮気を心配する母親、米の相場師といった題材はあまり好きになれなかったのが残念だった。2024/07/11
松風
14
酒田を思わせる港町を舞台とするオムニバス。どの物語も「土地」を生かしきっている。切ない→爽やかな読後感。2014/06/07
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