内容説明
笑うなら笑ってください。三十代も後半で、なんの取り柄もない私に突然舞い降りた幸運な出会い。著名なCMディレクターから、映画の脚本を書いてくれないかと言われた。ルックスが良くて情熱的な彼の依頼に有頂天になる私。あっという間に恋に落ち彼と同棲を始めるが、それは地獄への入り口だった。彼は、薬物依存症でDVだった。クスリに溺れた男に暴力をふるわれながら、次第に常軌を逸していく私。そんなとき、別の女が現れ濃密な彼との恋愛にヒビが入り始めて…。人には見せられない感情を、隠すことなく正面から紡ぎだす。長篇書下し。
著者等紹介
山田あかね[ヤマダアカネ]
東京都生まれ。早稲田大学卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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も ち@病気療養入院中のためオヤスミしています。
29
見事に共依存カップルだった。薬物依存の男、下部と出会ってしまったフリーライターのしずか。「まじめなわたし」だから「彼を救える」と思う大きな勘違い。「これが愛だ」と思いこんでしまう共依存の罠。しずかは自分を求めて欲しいのだ。求められることで自分の存在意義を見付けたい。そんなしずかを突き落とすギリギリのラインで試すかのような下部。「ふまじめな愛情」がしずかの感性を狂わせる。引き裂いて、全てを壊してしまいたい衝動に走る愛。それも愛の形のひとつ。しずかが今、身を置いている場所に愛があって欲しいと願う。2016/06/03
ばる
8
イライラしてきちゃう。そんな男のどこがいいの?強がったって、あなた余裕無いじゃん!といいたくなってしまった。でも相手にはもう、自分が要らなくなってしまったかもしれないと、ぐるぐる考えて眠れなくて何回も携帯を見てしまって、仕事とかどうでもよくなってしまう場面はなんか分かる気がした。若い子じゃなくて38の女性ってとこが逆にリアルなのか?2013/12/07
ゆー@受験生かも←
3
馬鹿な男女の恋愛モノ。けど案外好きです(笑)前に関わった男の人がそういえば下辺みたいな人だったなぁ、と思いながら読んでました。だからしずかの気持ちに共感出来たり…笑 可哀想な人を手離せない気持ちが何か理解できる私って…とか若干のショックを覚えながら読了ですっ2013/10/23
pbnn
1
誰でもずぶずぶ行く可能性があるんだなあと思わされた。2013/04/05
座敷ワラジ
1
苦しかった。きっと共感したから。自分の恋愛が「依存」に近いものだったのかもしれないと思い知ったから。誰かが必要としてくれることでしか自分の存在価値が見いだせない自分と重なったから。人間の狂い方、いろいろ細かく描写されてて、少し現実の自分に影響が出そうで怖い。2010/06/12