内容説明
坂東武者の家に生まれた十六歳の草十郎は、腕は立つものの人とまじわることが苦手で、一人野山で笛を吹くことが多かった。平安末期、平治の乱に源氏方として加わり、源氏の御曹司、義平を将として慕ったのもつかの間、敗走し京から落ち延びる途中で、草十郎は義平の弟、幼い源頼朝を助けて、一行から脱落する。そして草十郎が再び京に足を踏み入れた時には、義平は、獄門に首をさらされていた。絶望したそのとき、草十郎は、六条河原で死者の魂鎮めの舞を舞う少女、糸世に目を奪われる。彼女の舞には、不思議な力があった。引き寄せられるように、自分も笛を吹き始める草十郎。舞と笛は初めて出会い、光り輝く花吹雪がそそぎ、二人は互いに惹かれあう。だが、その場に、死者の魂を送り生者の運命をも変えうる強大な力が生じたことを、真に理解したのは糸世だけだった。ともに生きられる道をさぐる草十郎と糸世。二人の特異な力に気づき、自分の寿命を延ばすために利用しようとする時の上皇後白河。一方草十郎は、自分には笛の力だけでなく、「鳥の王」と言葉を交わすことができる異能が備わっていることに気づく…。平安末期を舞台に、特異な芸能の力を持つ少年と少女の恋を描く、人気作家の最新作。
著者等紹介
荻原規子[オギワラノリコ]
1959年東京に生まれる。早稲田大学教育学部国語国文学科卒。1988年「空色勾玉」でデビュー、日本児童文学者協会新人賞を受賞、アメリカでも翻訳出版されて話題を呼ぶ。古代を舞台とした「勾玉」をめぐるファンタジーは、「白鳥異伝」「薄紅天女」(赤い鳥文学賞受賞)で三部作をなす(いずれも徳間書店刊)
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感想・レビュー
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hirune
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たか
藤月はな(灯れ松明の火)
ちゃいろ子
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- 和書
- 覚せい剤精神病と麻薬依存