内容説明
本書に収録された七篇は、宗教を強い枠組として存在させる、中世を舞台にした作品である。すべての人間達は「宗教の中にいる」と言ってもいいが、この宗教は、内に対して緻密な整合性を持ち、外に対しては無責任極まりない、力を持った宗教である。外に対して無責任極まりないものが、内に凝縮して力を持って進む―願望の成就、あるいは信仰の成就というものだけを目指して、既に確定されてしまった認識の外側の、逸脱して存在する妄想的な時間の中を。それはすなわち、破壊することを自覚せぬままに匍匐前進する、巨大なモスラの幼生と同じものである。本書は、まるでボレロのように、このひたすらなる無知の凄まじい行進を描き出す。
著者等紹介
堀田善衛[ホッタヨシエ]
1918年生まれ。1939年慶応大学法学部政治学科に進学。1940年文学部仏蘭西文学科に転科。1942年大学を繰上卒業。1948年、戦後最初の小説「波の下」を「個性」に発表。1951年「中央公論・文芸特集」に「広場の孤独」を全編掲載。「文学界」に発表した「漢奸」とともに、昭和26年度下半期の芥川賞を受賞。1956年日本文化人会議より平和文化賞を受賞。1958年NHKラジオドラマ「日本の天」で芸術祭奨励賞を受賞。1959年アジア・アフリカ作家会議日本協議会事務長に就任。1960年NHKラジオドラマ「渦潮」によって芸術祭奨励賞を受賞。1963年文化放送ラジオドラマ「天と結婚」で芸術祭奨励賞を受賞。団伊玖麿の合唱・管弦楽曲『岬の墓』のために作詩、芸術祭賞を受賞。1971年『方丈記私記』で、第二五回毎日出版文化賞を受賞。1977年『ゴヤ』全4巻により、大仏次郎賞を受賞。1979年スペイン政府から賢王アルフォンソ十世十字章を受賞。アジア・アフリカ作家会議に出席、ロータス賞を受賞。1995年朝日賞受賞。『ミシェル 城館の人』全三巻で和辻哲郎文化賞を受賞。1998年日本芸術院賞を受賞。9月5日、脳梗塞で死去
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