内容説明
死んだはずのジェイミーが戻ってきた。いつものように、にやっと笑って言った。「あの通りを、今度こそクリアしようぜ!」イギリス期待の新星が描く、スリルと切なさに満ちた少年たちの物語。小学校中・高学年~。
著者等紹介
グレイ,キース[グレイ,キース][Gray,Keith]
1972年イギリス生まれ。経営・経済学を専攻したが、まったく向いていないと悟って学校をやめ、トラックの運転手、バーテンダー、テーマパークのぬいぐるみに入るアルバイト、レコード店の店員などさまざまな職を転々としながら作家を目指す。十二歳まではまったく本を読まない子どもだったが、ロバート・ウェストールの『‘機関銃要塞’の少年たち』をはじめとする作品に出会い、夢中になったことから自分でも物語を書き始めたという。新しい世代の子どもの本の書き手として、大いに期待を集めている作家。スコットランドのエディンバラ在住
野沢佳織[ノザワカオリ]
1961年生まれ。上智大学文学部卒業。会社勤めを経て、子育て中の91年から、イギリスに二年間、オーストリアのウィーンに三年間暮らし、帰国後、翻訳の仕事に携わる
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
24
物語の後半部分では、「消えた」ジェイミーが再び現れる。 SFに詳しい人でなくても、現れた理由については早晩見当がつくだろうし、 物語もその部分を追求するのが主意ではない。主眼は、ジェイミーと 僕、そしてもう一組の少年少女の関係に置かれている。 二人ならば、平気なのだ。 かつてボコボコにされたいじめっ子への復讐や、再度の挑戦も。 二人だから、楽しいのだ。 クリーピングにせよ、何にせよ、 塀よりも遥か高い身長を持つ大人達から見れば、 「それが出来たからってどうした?」と 怪訝な顔を向けられる事も。 2002/04/19
DEE
9
他人の家の庭を見つからないように走り抜けるクリーピング。あまりパッとしない主人公の「ぼく」はジェイミーと共に闇を駆け抜ける。ちょっと悲しい話だけど、清々しいというか澄んだ気持ちにさせてくれる。子供には子供なりの世界があり、かつては自分にもあったその世界を少しだけ思い出す。2022/05/26
光
7
図書館で気になっていた本。クリーピング(ガーデンホッピング)という度胸試しがある事を初めて知りました。私の予想通りにストーリーが進まないで!と祈るように読みましたが、予想通りに話が進んでいってしまいました。作者キース グレイさんの他の作品はどうなのでしょうか。気になります。2015/10/30
けろ
4
舞台はイギリス。一列に並んだ家々の裏庭を住人に見つからずにどこまで駆け抜けられるか。壁や塀をのりこえる「クリーピング」は実際は「ガーデン・ホッピング」と呼ばれていて、子どもの世界で行われている秘密の冒険なのだそうだ。小学校高学年か中学生の頃に読んだなら、異国の街並みを想像しながらそういうチャレンジングな遊びの文化があるんだなぁと興味深く読んだことだろう。友情、思春期特有のプライドは普遍だし、主人公が衝撃を乗り越える「葬式」を出すラストもよかった。2025/06/04
ぱせり
4
(大人から見たら)犯罪と紙一重の不快なゲームなのに、なんでこんなに気持ちがいいのだろう。どこにも繋がらない、そこだけの閉じられた世界の冒険。決まりきった学校と家との往復の間にある隙間の風。いたらない「ぼく」を押し上げるかのように、思いもかけず差しだされた、さまざまな手に、胸がいっぱいになってしまう。2022/04/19