内容説明
イスラエル建国の英雄を父にもつ、兄弟。多くのユダヤ人たちを救出した元ナチス将校を父にもつ娘。三人の男女が巻き込まれた、血塗られた惨劇。ニューヨーク、エルサレム、パリ、フィレンツェ、ウイーン、事件の真相を求めて世界中を駆け抜ける彼らの旅はまた、ホロコーストの時代に彼らの父たちが行った、ユダヤ人救出という英雄的行為の暗黒面を暴く旅でもあった。ジョン・ル・カレの深みと、グレアム・グリーンのスリラー性を兼ね備える、と絶賛された傑作ミステリー。
著者等紹介
ゴードン,ニール[Gordon,Neil]
1958年、南アフリカに生まれる。ミシガン大学を卒業後、エルサレム大学、ソルボンヌ大学に学び、イェール大学にて仏文学の博士号を取得。95年、本書『犠牲の羊たち』で作家としてデビューするや、ジョン・ル・カレの再来として脚光を浴びる
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感想・レビュー
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sohara
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「史実にもとづく」ホロコーストものミステリー。ただし当事者ではなく、その子供世代の話。物語の時点は1989年、原作は1995年出版、日本語版は2000年刊、携帯電話が所与のものではない時代ならではの美しく悲しい手紙が出てきます。被害者は加害者に転じ得る。傍観者は当事者の選択を裁けるのか。3.11に触れるまでもなく、現実は芸術を凌駕するので、テーマが深く重い程、ミステリーで描く必然性が増す。久しぶりに密度の濃い文章を読んで、疲れましたが達成感も大きいです。訳注があればもっと良かった。もっと読まれるべき作品。
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