内容説明
あれはいつのことだったか。過ぎ去りし記憶の中の風景。微熱を誘う気怠い午後、突如衝き上げる官能、夕暮れ時の淡い光、やるせなさが胸を塞ぐ、ほの暗い闇が溜まる部屋、黴の匂い、しんとした廊下の冷たさ、奇妙な既視感、柔らかい時間の記憶、大切にしていた想い…扉を開けば懐かしい香りが甦る。
目次
その1 懐かしい場所(光の中の記憶;神聖な冷気;優しい既視感;涼やかに湿る;仄暗い廊下の果てに ほか)
その2 甘やかな時の戯れ(時の扉;艶めかしい指;眼を閉じて;男と女の毛糸玉;包まれる官能 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
柊子
19
再読。もう何度目かの再読か判らないほど、何度も読んだ本。「硝子は光を天真爛漫に通すが、障子は一旦、中にこもらせ、光の残滓のようなものだけを、座敷に向かって放出する」いいなあ、この一文。眩しいほど明るい洋間もいいが、昼間でもほの暗く、しっとりとした心地よい湿り気を感じる和室。そんな和室に、ごろりと横になって昼寝した、子供の頃の夏を思い出す。2021/09/30
hiromura
7
小池真理子さんの子供時代や若い頃の風景。昔の日本家屋を思い出して懐かしかった。本当に今の住宅は明るくなったな。2023/07/25
prism
1
あれはいつのことだったか。過ぎ去りし記憶の中の風景。微熱を誘う気怠い午後、突如衝き上げる官能、夕暮れ時の淡い光、やるせなさが胸を塞ぐ、ほの暗い闇が溜まる部屋、黴の匂い、しんとした廊下の冷たさ、奇妙な既視感、柔らかい時間の記憶、大切にしていた想い…扉を開けば懐かしい香りが甦る。 ~日本の建物には光と影が似合う。うすぐらい空間はしんとした気分を誘う。独特の美意識がとらえた懐かしい風景、リリアン編みや千代紙で遊んだ日々をエッセイと写真で綴る。2023/11/09
みるて
0
図書館の本 読了2014/01/09
ゆりっぺ
0
2000年11月3日