内容説明
ニューヨークでたまたま象牙の密輸をかぎつけたハイラムは、是が非でも密猟をくい止めたいと、五年前にサファリをしたアフリカへと飛んだ。そして、前回もガイドに頼んだマイクとベニーと共に、異常な執拗さでゾウ達を次々と殺していた残忍な密猟者、ヴァン・デル・ヴェルを追いはじめる。ちょうどそのころ、アフリカでゾウの調査を続けるイギリス人科学者の一人娘アリソンは、現地の人からパパ・テンボと呼ばれ恐れられている一頭の巨大なゾウと心を通わせていた。そして運命の日、ハイラムたちが見ている中、ヴァン・デル・ヴェルに追いつめられたパパ・テンボを救いたい一心で、アリソンは自らの命もかえりみず…周到に張りめぐらされた伏線が一挙に絡み合うラスト。「ライオンと歩いた少年」の姉妹編として、前作にも増したダイナミックな場面展開と迫力で描かれた、手に汗握る小説。10代~。
著者等紹介
有明睦五郎[アリアケムツゴロウ]
福岡県生まれ。東京芸術大学修了。彫刻家。受賞多数。趣味は熱帯魚、アウトドア等、自然に接すること。野生動物に深い関心を寄せ、彫刻のテーマも動物が多い
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マッピー
9
以前読んだ「ライオンと歩いた少年」の姉妹編。私はこちらのほうが好きだなあ。象は、人間より大きな脳を持つ唯一の動物で、仲間を愛し、死を理解し、記憶を持つ。パパ・テンボの中には、人間に対する憎しみが深く刻み込まれている。アフリカの動物たちは、命をかけて他者の命をいただき、自分の命をつなぐ。だが人間は、飛び道具で、自分は安全な場所にいて、楽しみや贅沢のために他者の命を奪うのだ。アフリカの大地でのダイナミックな生と、それを蹂躙する人間の性(さが)のぶつかり合いに引き込まれ、圧倒されながら読んだ。2018/09/29
sea0518
1
仕事で小学生にブックトークするために読みました。正直見ただけであまりの字の小ささにひきましたが、読みました。読んでいくうちに、すっかり夢中で読みました。最後の方のパパテンボのかっこよさ、密猟する人間の卑しさ、見守ってる人間の優しさなどいろいろな思いが胸に迫る作品でした。ただ読む勇気がもちにくいだろうな、と思う今です。うまく紹介できるといいのですが…2013/12/09
sushi__melody
0
一匹のゾウを巡って交錯する人間とゾウのドラマ。読みやすくて面白い。物語も良くできていたが、それ以上に神秘的なシーンを視覚的に描いた箇所が印象的だった。具体的な土地が小説のなかで役割を持つ象徴として描写する箇所も自然で、記憶を描こうとする小説全体のトーンにあっていたと思う。 2022/01/26
MIO
0
アフリカのゾウとゾウに恨みを抱く残忍な密猟者のヴァン・デル・ヴェル。密猟をなくしたいニューヨークのハイラム。ゾウの生態を調査する科学者の親子。昔密猟者に群れを滅ぼされ、ただ一匹生き残ったゾウは、パパ・テンボと呼ばれるゾウの仲間を助ける巨ゾウになっていた。科学者の娘アリソンはパパ・テンボと心を通わし、運命の日、人間とゾウが力を合わせて密猟者に立ち向かう。象は凄い動物なのだなと思った。パパ・テンボは想像の産物だが、こういうことはきっとあるにちがいないと思わせる神秘的で力強いストーリーだった。人間が害獣なのだ。2020/11/04
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