内容説明
無重力空間をゆっくりと漂う死体。破損した無骨な作業服と散らばった血粒―その姿はまるで数十メートルの高度から墜落したかのようだった!?日本初の多目的宇宙ステーション『白鳳』で起きた不可解な死は、はたして事故なのか、事件なのか。従妹の森鷹舞衣とともに、『白鳳』を訪れていた鷲見崎凌は、謎の真相を探ることになる…。ハイテクノロジーが集積する場所で、人は何を思い描くのか。第1回日本SF新人賞を、選考会満場一致で受賞した本格SFミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪紫
58
再読(「星くずの殺人」読んだら思い出して)。再読でもやっぱりS&Mシリーズ連想するよなぁ。はともかく年を経て再読したらトリックや犯人、動機を覚えてるのもあって(やっぱり動機には共感するところも)、登場人物の結婚観や人間関係の方が印象強くなってた。事件だけでなくこうした面もかなりしっかりしてる。2023/05/08
モルワイデ鮒
14
無重力空間の墜落死。印象的な表紙と序章。映像で見たい。宇宙ステーションの特殊な状況に惹き込まれる。派手なトリックと斜め上なのかどうなのかもよくわからない動機も良かった。下手に知識がなくて良かった部分と、わかったフリして流してしまった部分と両方ある。蘇生処置の設備や薬がないというのは、そういうものなのかどうなのか。全体的に森ミステリィのあれこれ全部のせ感が最後まで拭えずに、そこから逸脱してほしいと思いながら読んだ。2025/02/08
雪紫
14
アニメで見たアスラクラインの作者のSF科学ミステリ。無重力空間で墜死した博士の謎、そして第2の殺人が起こる。殺害手段もこの状況を活かしたトリックだけど個人的には動機が好きで・・・少しは共感するところも。とりあえず主人公コンビに犀川と萌絵がダブって見えたのは多分わたしだけじゃないはず。とりあえず舞衣は頑張れ。
そーいち
11
三雲岳斗さん、一般誌デビュー作品。ジャンルはSFミステリー。まず、設定が面白い。無重力空間で発生せざるを得ない堕落死。無重力でどうやって落ちたのか?という疑問に加えて、何故?その方法をとったのか?という理由も理解は出来ないが納得出来るものであった。難点は登場人物が森博嗣さんのS&Mシリーズに似すぎている点だろう。主役がクールで理系的考えの持ち主、ヒロインがお転婆お嬢様という全く同じ構成はいかがか。また犯人も見たことのある思考でちょっともったいない。だが全体的には満足の良く出来ばえ。他の作品も読もう。2022/01/25
王蠱
10
三雲岳斗先生の初期作ということでずっと探してたのをようやくゲット。無重力の宇宙ステーションで起こった「墜落死」という本来ならば起こり得ないはずの事件。登場人物は無気力系主人公に助手的ポジションの女性、微妙に残念な香りの漂うおっさん・・・などキャラ要素的に見れば非常にオーソドックスなミステリドラマっぽい構成なのだが、それが置かれる「謎」を構築する技量はSF・ミステリーのどちらにも高い手腕をもつこの作家だけあってこの頃からもうクオリティが非常に高い。凌と舞衣に繋がる過去の事件などについてもいつか読めたらいいな2013/05/09