内容説明
本書は国会図書館でマイクロフィルム化され誰からもコピーされることなく眠っていた覚什の「太子伝記」をわかりやすい現代語に書き改めたものである。聖徳太子という歴史上最も傑出した人物、日本人の心のあり方をつくり上げた人物の波乱に満ちた生涯とその神秘的能力を描く一方で、覚什は、日本に最初に根づいた頃の仏教の姿とその思想性をも見事に活写している。誤解にまみれた解釈が氾濫する現代において、仏教の本質に迫ろうとした覚什のこの試みこそが、「太子伝記」を第一級の歴史史料とするのに成功したのである。
目次
第1部 前世譚と誕生から五歳までの出来事
第2部 六歳から十歳、超絶的能力の開眼
第3部 太子十一歳から十五歳、無仏世界に三宝を広める
第4部 死をも凌駕する善光寺如来の功徳
第5部 太子十六歳、廃仏派物部氏の滅亡
第6部 太子十七歳から十九歳、出家の断念
第7部 太子二十歳から二十三歳、日本初の摂政となる



