内容説明
物語は2002年のアメリカ。天才的遺伝子学者トム・カーターは、人間の設計図ともいえる遺伝子の内容をすべて解読する画期的装置を発明する。彼は、一人娘ホリーの遺伝子を自らの装置で調べ、まもなく彼女が脳腫瘍を発病して1年の命となることを知る。それが遺伝子情報から得たホリーの運命だった。しかし、カーターは諦められない。あらゆる可能性にしがみつき、娘の命を救おうとする。そして、最後に残された道は、奇蹟の治癒能力を持つイエス・キリストの遺伝子、すなわち「神の遺伝子」の謎を解くことだった―。神の遺伝子の謎が明らかにされるとき、ひとつの真理があらわれる―。最先端科学がもたらす恐怖を描いた傑作冒険ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
79
終盤は実にウイットに富む持って行き方で思わず感嘆してしまいました、これは巧い、巧過ぎる!火事場の馬鹿力ならぬ、火事場の破れかぶれによる新たな治療法は、そうねぇ「クレルモン法」もしくは「アウグスティヌス法」でどうですか?2024/08/26
とも
46
★★★★前半のスピード感そのまま後半も失速することなく最後まで楽しめる。内容もよくある遺伝子を題材としたミステリーではなく、イエスの奇跡を遺伝的要因と捉え、娘の遺伝疾患の解決に結びつける突飛さが現実的にありえそうで面白い。また最終までどのように収束するかの予測もつかない。最後の最後、イエスの復活細胞が見つかった場合、人口はどんどん増え 土地・食料等々様々な問題が生じることが予測される。実は世に蔓延る病気や事故、ひいては戦争や殺人、飢餓などもこのバランスを取るための神の道具と考えれば。。。考えさせられる。2014/08/16
背古巣
25
面白いです。SFではありますが、物語で述べられている技術の一部はすでに実現されているとのこと。ただ、2000年以上も前のイエスキリストの遺伝子を含むものが現代まで保存されているということはないでしょう。ですが、物語としては大いに面白かったです。娘のためにここまでできる父親は、その財力と能力についてうらやましい限りです。もし自分がイエスの遺伝子を持つことになったらどうするでしょう?難しい問題です。2015/07/20
Cinejazz
18
ノ-ベル賞受賞の遺伝子学者が、イエス・キリストの遺伝子に挑む大仕掛けの冒険ミステリ-小説である。秘密結社秘蔵のイエスの聖遺物(磔刑の際の着衣、血痕の付いた釘、抜けた歯)から採取したDNAが、あらゆる疾病の治療に活用できるとしたら・・・。イエスの再臨と奇蹟の治癒能力を信奉するストーリー展開には眉をひそめたが、イエスの遺伝子を受け継ぐ人物の登場と素性が明らかになり、神の領域にも迫る大団円に至っては、意表を突いた本作に打ちのめされことに!2019/05/20
かも
16
★★★☆☆脱サラ作家の処女作だが、非常に引き込まれるストーリー。もう一歩で実現できる技術だからこそ現実味があり、それが引き込まれる理由だと思う。そして題材も秀逸。宗教と科学の対立や神の遺伝子の扱い方や人としての倫理感など、興味深い内容。過激な宗教組織のリーダーや科学者仲間との会話など、神とは何か、その力をどう活用するべきか、本当に面白い。アメリカ文学らしく、作中では主人公が明確な結論を出しているが、はたしてそれが正しいのかなど読了後も考えさせられる。0か100ではなく、その間のどこかを決断する思考が必要。2020/07/06