内容説明
ジェーンは、両親と弟のトムといっしょに、人魚伝説のある海辺のカーリングローブに引っ越してきたが、なかなかなじめない。そんなとき、川辺で奇妙なねこをみつけた。そのふしぎな目の色に魅せられたジェーンは、家に連れて帰ろうとする。ところが、小さなねこの体は、ふいてもふいても乾かず、ジェーンの腕のなかでどんどん重たくなるのだった。ジェーンとトムは、村の少年フレッドとともに、小さなねこの秘密をさぐることに…?ふしぎなねことの出会いが、ときをこえた友情をよびおこす、神秘的なファンタジー。小学校中・高学年から。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
24
ジェーンは、両親と弟のトムと一緒に人魚伝説のある海辺のカーリングローブに引っ越してきたがなかなかなじめない。そんな時川辺で奇妙な猫を見つけた。その不思議な目の色に魅せられたジェーンは家に連れて帰ろうとする。ところが小さな猫の体は、ふいてもふいても乾かず、ジェーンの腕の中でどんどん重たくなるのだった。神秘的なファンタジー。猫との出会いを通じてジェーンが自分の殻を取り払ってゆく様子が描かれる。読みやすいボリューム。著者自身が子供の頃暮らした村に伝わる伝説と実話、それとファンタジーを巧みに組み合わせた作品。2001/10/18
timeturner
6
人魚伝説と飢饉の時代に豆で生き延びた言い伝えをからめ、素直になれない少女が少しずつ他人を思いやり、自分の心を開いていくようすを描いている。従来の児童小説とはひとあじ違う不思議な雰囲気で、一気に読んでしまった。挿絵の猫が可愛いのもポイント高し。2014/03/27
きゅー
2
エリザベス女王戴冠式前、海辺の母親の田舎に引っ越してきたジェーンとトム。そこは、人魚伝説のある町。かつて男の人魚が住んでいたという伝説が残っている。その町の川辺で、びしょぬれのネコを発見。でもそのネコは、拭いても拭いてもすぐまた濡れてしまって… ちょっと不思議な感じの物語。けっこう最後はじーんときたな。2013/11/21
かねかね
2
翻訳がイマイチなのかな? ちょっと文体が直訳で堅い感じがします。内容は面白かったです。訳し方次第ではもう少しワクワクと胸が踊る感じになると思えるだけに、惜しい気がします。2012/08/12
You
1
■高学年以上■久慈美貴 訳 高橋常政 絵■取るに足らないローカルな言い伝え、地味な年中行事、生活圏を少し延長した所に当たり前のように鎮座した、紛れもなく実在する素朴なファンタジー。引っ越してきたばかりの思春期の心のささくれ、知らない土地で知り合った生意気な男の子。数百年前、百数年前から、確かに今この時この身に繋がる力強い一つの流れ。友情。出会い、別れ、喪失感と新たな存在。そんなものたちが一つになった、大きな水流のような物語でした。知られざる名作。良い作品です。(閉ざされたモノが儚げな美少女じゃない点、◎)2014/03/19
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- 深夜零時に鐘が鳴る 潮文庫