内容説明
魔法が本当に存在する国インガリーで、三人姉妹の長女に生まれたソフィー。「長女は何をやってもうまくいかない」という昔話のパターンが実現したかのように、ある日ソフィーは、『荒地の魔女』に呪いをかけられ、九十歳の老婆に変身させられてしまう。家族を驚かせたくないと家出したソフィーは空中の城に住む、うぬぼれ屋で移り気な若い魔法使いハウルのもとに、掃除婦として住み込んだ。ハウルに魔力を提供している火の悪魔とこっそり取引したり、ハウルの弟子と、七リーグ靴をはいて流れ星を追いかけたり。謎のかかしや、犬人間も現れて…?やがて、ハウルの意外な素顔を知ったソフィーは、力を合わせて魔女と闘おうとするが…?イギリスの人気作家ジョーンズが描く、読み出したらやめられない魅力的なファンタジー。10代~。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Miyoshi Hirotaka
153
おとぎ話で失敗するのはいつも長女。ソフィーは自分が上手くいかないのをそのせいにしている。それは自分で自分にかけた呪い。しかも、相手が先に見破ってくれない限り自分からはどんな呪いかも話せない二重の呪い。「どうせ無理」と思っているうちは解くチャンスすら訪れない。青春とは心の若さ、理想を失う時に人は老いる。ソフィーがかけられた魔法は、実は自分自身の心の姿。それを解く力は、実は、自分の中にあった。それは、呪いから自分を解き放つだけでなく、みんなを幸せにする魔法だった。魔法王国のイギリスならではのファンタジー。2015/05/24
のっち♬
101
「だいじょうぶよ、おばあちゃん。とても元気そうだもの」いわれのない敵意から魔女に呪いをかけられて老婆に変身した娘ソフィーが、魔法使いハウルの城に強引に住み込む。彼女の引っ込み思案が無遠慮とお節介へ変貌し、秘められた芯の強さや美質が表出する様は爽快感と痛快さがある。周到な伏線に捻りの効いた展開(終盤は展開が速過ぎてやや盛り上がりに欠けるが)や人物像が魅力的で、意地悪で天邪鬼な火の悪魔カルシファーや自惚れが強く本気で人を愛せない臆病者ハウルをはじめ、活力に富んだキャラクターの軽妙なやりとりが物語を下支えする。2020/06/05
たか
60
宮崎駿の『ハウルの動く城』の原作本だが、映画よりもこちらの方か奥が深い。 映画は不足パーツの多いジグソーパズルのようで、細かい点が不明瞭でもあり、全体もしっかり見渡せなかったけど、原作は、映画のさまざまな疑問点に答えてくれる。 『ソフィーの隠された能力とは』『ソフィーの呪いの秘密とは』『カルシファーの正体とは』など、映画ではよく分からなかったところが明かされる。原作の方がファンタジーや冒険の高揚感が純粋に味わえる。B-評価2020/11/12
再び読書
53
やはり映画の印象が邪魔して、どうしても映画との違いの引っかかり、なんか読み損ねた気分。登場人物全てに違いがあり、なかなか物語に入り込めなかった。ただ、ソフィーは映画以上に個性的でタフだった。次作頑張って読みます。2019/05/26
つばめ
50
久々に再読。小中学生の頃のソウル本。やっぱりめちゃくちゃ好き。原作派。ソフィーの長女だからとままならないながらも努力は放り出さない所も、ハウルの適当に見えても繊細で思いやりある所もすごく好きだし、最後の二人の世界に浸る所も好き。あとカルシファー可愛い。戻って来てくれるの可愛い。ずっとわちゃわちゃしてて欲しい。2023/07/21