出版社内容情報
性善説を唱え、民衆の真の幸福を仁義ある王道政治に求めた論客・孟子。欲望のままに功利をむさぼり、激烈な権力闘争を続ける戦国の世の中に対して、目先の利益のみを追う愚かさを説く。
内容説明
真の仁義とは何か。功利と権謀を排す。動乱につぐ動乱の戦国時代、強者が弱者をしいたげ、利欲がせめぎあう現実と真正面から取り組み、あるべき人間、あるべき社会を独創した孟子。「亜聖」という後世の虚像をくつがえす、烈々たる理想主義の全容。
目次
梁恵王
公孫丑
滕文公
離婁
万章
告子
尽心
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
18
男子厨房に入らずの語源が孟子の「君子庖厨を遠ざく」。厨房が屠殺の場でもあった時代、儀式のために殺される牛の悲鳴を君主は聞かなくてもよい、という文脈だ。生々しい現実から距離を置き、清く正しく。料理人は料理人の、君主には君主の仕事があるという分業論は、「君主も耕すべき」と主張する農本主義者許行への厳しい批判にも繋がる。このような思想が政治の民衆からの乖離を招いたのだろうか。楚の人許行の異民族の言葉を「南蛮鴃舌」(モズのようなギャアギャア)と評する漢民族の優越意識に呆れる。こんな人間に仁を説く資格があろうか2017/03/13
いもせやま
0
学生時代に読んだ本を再読中。孟子は戦国時代、富国強兵に明け暮れる諸国において儒家として活躍した人物。教科書等では孔子に次いで記される儒家である。孔子の『論語』は、有名であり読書家ならば邦訳本を一冊は読むのだろうが、金谷訳・宮崎訳・加地訳でその見解は違うので内容のつかみぬくさは際立っている。『孟子』はどちらかというと、儒者が支配層の需要に応じたためか、政治・経済分野の内容が多く、政治書としての趣が強い。なお、本書の「中国の思想」シリーズは、現代語訳・注釈・漢文・書き下し文が記されていることが特筆すべき点だ。2014/12/16
はる
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★再読した方がよい2014/01/05
Taro.H
0
孟子って誰?っていう人でもわかるようにやさしく書いてくださっている本。当然のことだが、数千年生き残っている文章なので、噛めば噛むほど味が出ることばかり。とりあえず二回読んだが、まだまだ読みたい。また、古臭いと思う人もいるでしょうが、これはプラトンの対話篇なんかもそうだけれども、議論の進め方として参考になるところもあったりして、下手なハウツー本よりよほど使える。さらに、自分の発言の後に「孟子も言ってるしね(キリッ」と付け足すだけで説得力が増すという効果も期待できるかも笑2012/05/11
Pachi
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正論ばっかり唱えるけど敬遠されちゃう学級委員みたいな。