内容説明
突然悪夢が訪れた。飛んでくる鳥を避けきれずに、飛行機が墜落してしまったのだ。瀕死の重傷を負うパイロット。頼りの父も脚を骨折し動けない。ただひとり奇跡的に軽傷ですんだクリスは、大きな決断をせまられた。単身アフリカの大地を徒歩で歩き、助けを求めるか否か…。アフリカの大自然に生きる動物たちの生活、目の前で繰り広げられる、生と死の容赦ないドラマ。そして厳しい野生の掟。人間が本来的に持っている「太古からの本能」。少年と老ライオンの魂の交流を、骨太な文体で感動的に描く。10代~。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マッピー
10
主人公クリスは12歳で母を喪った。悲しみに暮れるクリスと父。そんな生活を打破するために父がしたこと。それはタンザニアに仕事を見つけて暮らすこと。しかし彼と父が乗った飛行機が墜落する。クリスは決意する。泣きそうに怖い事だけど、今、この現況で自分にしかできないこと、やるべきことをやらなければいけない。助けを探しに行かなくては。生と死が隣り合わせのサファリでクリスが体験したことは、ともすれば心が押しつぶされそうになるくらい、怖くてつらい出来事だったが、それを静かな筆致で綴る作者の姿勢に、自然への敬意を感じた。2018/08/27
もえ
0
絶対に生きるという覚悟の少年と死に場所を求める老いたライオン。理屈じゃないなにか。どんどん感覚が研ぎ澄まされていく少年。同じ生き物だからこそ、理屈じゃないところで通じ合えるときもある。同じ人間同士もわかりあえないときがあるのに不思議だね。2017/03/07
Aina
0
1996年初版発行。作者はイギリス出身のエリックキャンベル。母親と死別した14歳のクリスは、父親と2人、新しく生活を始めようと期待と希望を持ちアフリカの地に降り立った。しかし、目的地に向かう途中、飛行機が事故を起こし、墜落してしまった。パイロットは瀕死の重傷を負い、父親も骨折してしまう。クリスは、意を決して50キロ先まで助けを呼びに歩き始める。絶望の中、少年がまた強く歩き出すところ、老ライオンとの絆が感動的。迷走する10代の子どもにおすすめ。そして、自分で決めた道を進んでいく子どもたちを応援したい。2023/01/27