内容説明
18歳のロザモンド・ヴィヴィアンはイギリスの小さな島で、愛情のない祖父と二人きりの孤独な生活を送っていた。ある日、祖父のもとを大金持ちのフィリップ・テンペストが訪れる。ロザモンドは自分の倍近い年の、どこか陰のあるテンペストと恋に落ち、二人は結婚してフランスへと旅立つ。しかしやがてロザモンドは、その結婚が罠であり、テンペストの恐るべき秘密に気づき始める―。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆのん
70
オルコットのセンセーショナル・ストーリー。1人の美しい女性を我が物にしようと執拗に近づく悪魔のような男。美しいとはいえ、逃れる為に他人に助けを求めすぎではと初めは好感の持てないヒロインに感じるが、時代的背景を考えるとしょうがないのかもしれない。それにしても悪魔の様な男・テンペストのしつこいことこの上ない。途中、憐れみを感じる部分もあったが一掃する結末は恐怖すら感じる。男性上位の当時の女性たちはどんな気持ちで読んだのだろう。2021/10/01
きりぱい
9
面白かった~。『若草物語』のノリで読むと愉快に裏切られる。愛してくれない祖父と暮らすロザモンドの元に現れたテンペスト。名前からして不穏!自由に生きる頼もしそうな男なのに、口をついて出た印象はメフィストフェレス!危なすぎる!なのにかごの鳥のヒロインにはどうしようもなく魅力的に見えてしまう男。ピュアなロマンスはじわじわとサスペンスとなり、テンペストの愛は本物なのか、スリルな展開は、後半イグナティウスが現れて一気に加速。私だったらもう悪魔でもテンペストでいいわとなりそうなんですが。ラストがまたええっ!で・・。2011/04/30
rokoroko
7
若草物語の中(続、3?4冊目?)でジョーが生活の為書いていた話なのかな。オルコットの作品らしくない,煽情的な作品。良い子に勧められない。こういうのがゴシック小説と言うのでしょうか。結構面白かった。2017/03/18
椿子
4
ほのぼのとした家庭小説「若草物語」のオルコットが書いた、男と女の攻防劇。登場人物すべてどこか憎めず、完全に善人みたいなものがいないのが良かった。ちょっと夢野久作とか江戸川乱歩みたいな冒険活劇というか、どこに逃げても追ってくるテンペストに微妙にドキドキさせられました。2011/05/10
prima7
4
たまたま「フラワー・オブ・ライフ」をぱらぱら見ていて、「ルイジアナにひな菊咲いて」みたいな大げさな時代物が読みたいな〜と思っていた時に、図書館の棚で目に留まった物語(笑)。まさか「若草物語」のオルコットが生活のためにこんなジャンルのものを書いていたとは知らなかった。無垢で純粋で好奇心おう盛な少女ロザモンドが、悪魔的な魅力を持つ大人の男テンペストと出会い…という、ドラマチックな時代の大仰な恋愛物語が、サスペンス仕立てで進み、すんごく面白かった。2010/12/11