内容説明
私立秀青高校の軽音楽部の部室を覗いたのは、用務員の各務原氏だった。染めているわけじゃないんだろうけど、赤みがかった髪。眉毛が極端にうすく、眼はぎょろっとしている。ピアノを練習していたぼくの前に現れた。各務原氏は普通の用務員とはちょっと違う。「そう用務員という職業の一般的イメージを問題にするなら、わたしはそこから外れた存在ではあるだろう」「しかし逆にそのイメージにぴったり合致する用務員さんをどこかから見つけてくるのも、至難の業だと思うけどね」という各務原氏。翌日の火曜日。学校の敷地内にパトカーが入ってきていた。校内で女性の死体が発見されたのだ。本格ロジックの第一人者がチェスタトンばりの逆説で迫る学園推理。
著者等紹介
氷川透[ヒカワトオル]
横浜生まれ。東京大学文学部卒。『真っ暗な夜明け』で第十五回メフィスト賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
73
【各務原氏シリーズ】第1弾。学校内で女性の死体が発見され、語り手の男子学生と探偵役の論理的推理の掛け合いを楽しむ、学園ミステリ。探偵役の各務原氏が、先生でも学生でもなく、用務員だという所が特徴。ただ残念だが、短編を何とか長編にしましたという感じを、受けないわけではない。人物紹介欄と物語を進める中での違和感など、はたして意味が在るのか疑問に思う点も在る。読みやすく論理的なミステリを意識しているとは思うのだが、どうだろう。ラストの会話も迷う所で、人の打算的思考もそれを敢えて暴く事にも、何となく気が滅入る展開。2021/12/04
へくとぱすかる
22
学園ミステリ。各務原氏については、ブラウン神父的な役目なので、表だっての行動はないが、年齢の設定が意外。「あーる」の影響で、天本英世氏をイメージしながら読んだのだが、それでも特に違和感はなかった。読後に感じたのだが、犯罪そのものよりも恐ろしいのは、人間の心だと思う。きっと普段のなにげない行動だって、打算と自己満足に満ちているのではないだろうか。犯人の行動は許されないが、その他の登場人物のやったことも、非難されてもおかしくない。ラストでそんな心理を暴いていくところが、スリリングである。2015/02/04
博愛
3
カバーがいちばんおもしろく、外してしまえば虚無しか残らない2017/07/17
寒っ!!
3
中学生レベルの議論や無意味な主人公の思考の反芻で長編にしているが実際は半分以下のページ数で足りる内容。もっとも短編でもこんな内容で出版するのは普通はしないだろう。なお仕掛けはまるで意味がない。2014/11/23
とり
3
う、うーむ、私にはいまいちでした。事件自体にもあまりのれず、トリックもいまいちすっきり!って感じじゃなかったな。各務原氏とリョーの会話は面白かったけど、結局誰が誰なのかわからなくて消化不良。で、どうだったんだろなぁ。2012/04/07