内容説明
「ゼロ!ゼロ!ゼロ!本船は攻撃を受く」―。ベーリング海を航行中の輸送船スパルタからの謎の救難信号が太平洋を血の海に変えた惨劇への前奏曲だった。現場に残された銃痕は二十ミリ機関砲と七・七ミリ機銃―、旧日本帝国海軍の零式艦上戦闘機のものだった。太平洋戦争から四十年を経過した今、それはばかげた妄想にすぎないはずだった。しかし、米国沿岸警備隊のヘリコプターHH52シー・ガード、さらにロシアのツポレフ16が撃墜され、付近の海域にはレシプロ・エンジンを搭載した戦闘機の爆音が轟いていた。そして、十二月八日。真珠湾に巨大な空母が接近しつつあった。