内容説明
11月のある夜、〈私〉は殺人を目撃した。被害者が死の寸前に呟いたのは“奈落…”だった。この男、レナードの兄ケネスも、半年前に転落事故で死んでいる。が、レナードの恋人“トム”は、二人が同一犯人に殺されたと主張し、〈私〉に真相究明を依頼してきた。兄弟の周囲は怪しい人物ばかり。事件の鍵を握る男が見つかったとたん、罠にはまり〈私〉は半殺しの目にあった…。好調“名無しの探偵”シリーズ最新作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
bapaksejahtera
6
名無しの探偵シリーズ第13作目。主人公が偶々遭遇した殺人事件。その犯人探しを被害者と同棲していた同性愛相手が依頼してくる。主人公が被害者から、その臨終時聞いた奈落という言葉が書題である。これはストーリー全体の暗喩にはなっているものの犯人探しの鍵とはならない。抑々奈落などという文学的言辞を死ぬ間際に言うはずもないのだがこれは原題Deadfallの訳から来たものである。それなら類似の訳語を使い捻りを加えるか、全く別の書題にしたほうが良い。シリーズとして落第作品ではないが久々に読んだ割には満足の行かぬ作品だった2020/08/04