内容説明
東南アジアの料理は辛い。辛いけれどその辛さに深みや幅、様々なバリエーションがあるし、長い歴史、伝統から来る味の洗練もある。熱帯の豊かな自然がもたらす豊饒もある。それに何より、東南アジアの料理には新鮮で親しみやすい旨さがあふれているのだ。国境を越え、各地の食についての考察をめぐらし、食から東南アジアをとらえ直す―気鋭のフォト・ジャーナリストがペンとカメラで迫る書下しエッセイ。
目次
食は国境を越えて
マレー鉄道縦断食の旅
食べ歩きの秘訣
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
216
著者の森枝卓士氏の本業が写真家だとは知らなかった。てっきり、食の実践的研究家だとばかり思っていたのだ。そうは言っても、その誤解は当らずとも遠からずなのだが。本書は「食」を機軸に東南アジア各地(主としてタイ)の、それも国境地帯といった、いわば辺境を旅しつつ、食べて、そして考えたもの。それぞれの国家が引いた国境をやすやすと越えて行く(あるいは越えていかねばならない)人々の生活や暮らしは、「食」を通じて初めて見えてくるものもあることが良くわかる。それにしても華僑の人たちのヴァイタリティは、ほんとうにすごい。2014/11/13
てくてく
3
1989年初版の本だけに、時代を感じさせる箇所はあるものの、屋台料理の魅力であるとか、中華系の人々がタイと比べてまじりあっていないマレーシア(イスラムの影響ではないかと推測している)の様子などが描かれていて、読むと旅に出たくなる本だった。”岡倉天心が言った「アジアは一つなり」はある意味では正しい。が、同時に間違っている。「何が同じで何が違うのか」を互いに認識しあうことから、理解は始まり、「アジアは一つ」ともいえるのだろう。”(p154)2014/09/01
夜のワシントン
1
紀行文ってジャンルにあたるのだろうか?おもしろかった。20年近く前の文章だけど、そんなこと感じさせられない。東南アジアの屋台でご飯を食べたくなった。単純だけどね。2010/09/10
tora
1
昨日の「裏」アジアと違って実に硬い文書で文化的。まあ、どちらも本当なんでしょうね2009/01/03