内容説明
紀行前六世紀、春秋時代の魯に生まれた孔子は、現在の可南各地の侯国を歴訪し、「仁」による政治を説いたが、その理想主義は敬遠され、晩年は教育に専念、五経の撰択編定を畢生の仕事とした。彼の名と、没後に編纂された「論語」は余りに有名だが、本書は豊富な史料を駆使して孔子の思索と行動の軌跡を辿り、その偉大な生涯を浮き彫りにした、現代への貴重な示唆を探る格好の入門書。
目次
没落貴族の子
魯の国の文化的雰囲気
挫折のなかの前進
門弟の教育を始める
老子との出会い
成熟の道を歩む
斉の国での政治活動
斉の国での収穫
混乱のなかの寂寞
教育者としての孔子
官途につく
外交上の勝利
貴族との戦い
亡命の途へ
衛におもむく
匡で拘留される
晋に行こうとしたが…
不愉快な歳月
宋での迫害
陳におもむく
なぜに曠野をさまようや
隠者たちとの出会い
衛から魯へ
帰国後の政治態度
教育に没頭する
『春秋』の編纂
詩歌と音楽の整理
顔淵と子路の死
最後の歌声
孔子略年譜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BIN
2
史記や春秋左氏伝から孔子がどのように生きたかか、時系列を追って解説したもの。聖人賛美しているものではなく、政治への意欲むき出しであり、よくまとめられているかと思う。論語での難しい話もない（わかりやすいのはある）ので、孔子嫌いな私でも普通に読めました。2015/04/11
まいご
0
儒教を諸国に説いて回った人と思いきや、あちこちで立身出世に挫折した人だった。本書で彼の生涯をただなぞっても特に感慨はない。論語もよく知らないのに読む順序を間違えたかな。「読書にのみふけって思索を怠れば知識が身につかず、思索にのみふけって読書を怠れば独善的になる」この言葉には膝を打った。著者は文革の犠牲になったとか…2017/02/27
