内容説明
大阪は通天閣下の路地裏通り。バーバー中田の友夫、ガードマンの順吉、喫茶ミツコのママ光子の3人は妙に気が合い、日に一度は顔を合わせないと気がすまぬという間柄。涙もろくておっちょこちょいのこの3人組が、町内にまきおこるさまざまな事件に鳩首協議、他人の不幸は放ってはおけぬと力を出しあい、解決にあたる。ちょっぴり楽しく、ちょっぴり哀しい下町人情ドラマ。名手・難波利三の独壇場。
目次
ヒツジの夜に
うつむくキツネ
子ブタのように
ウマになりたや
ネコの宿
気の毒なパンダ
コアラは大人
いとしのタヌキ
クマの目に涙
逃げるウサギ
フクロウは悲しからずや
仲良くイヌに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
2
思わぬ拾い物。図書館の本の交換会で入手。難波 利三氏には直木賞の受賞者という知識しかなかったが、本書を読んでいいものを書く人であることが分かった。題名はセンスがないが、話自体は面白い。大阪の通天閣が見える街に住む人々の泣き笑いを描く連作短編集。「ヒツジの夜に」のように、どの短編も動物を含むタイトルになっているところが洒落ている。情緒たっぷりにならずに、抑えたセンチメンタリズムが心地よかった。2011/01/08
カトさん
0
放送作家として有名な難波氏の佳作。 解説を読んで驚いた。当然なにわ出身なのかと思てたら出雲出身とは。 昭和の長屋を舞台にした人情もので時代錯誤な感が逆によい。なんてことない事で噺を転がす名手やな。2020/03/24