内容説明
世間には悪知恵の働くヤツがゴマンといる。田舎から家出してきた若い娘をハントして金を巻き上げたり、富豪未亡人をたらしこんで財産を奪ったり。保険をかけて放火や殺人はまだセコイ。某国王室からと偽って銀座の宝石店主をまんまと手玉にとったグループ等々、知恵の限りを尽して人間の欲をくすぐる、おかしくもおろか、そして哀しい知能犯たちの10話。そう、きっと貴方の隣にもそんな輩の一人や二人…。
目次
エイプリル・フールの犯罪
ある悪女
富豪未亡人の恋
盥まわし
ニンベンの魔術師たち
九連宝燈
女優志願
恐るべき頭脳
脱税の季節
二字国俊
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まつうら
42
知能犯というタイトルの意味するところは、経済事件を中心とする詐欺事件のこと。全部で10の事件がおさめられた短編集となっており、事件はどれも昭和30年代に現実に起きた事件をモチーフにした作品なのだそう。さすが、かつてトップ屋として鳴らした著者の取材力を感じさせる作品だ。さらに、こんな詐欺事件に梶山流の愛憎劇を絡めると、登場人物のキャラが立ってきて味わいが増すのは興味深い。なかでも、緑一郎の詐欺一代記は結末がアベサダ事件になっていて怖さを感じるが、梶山節で笑い話風に仕立てられている。さすが!2022/12/23
もりの
8
古本屋にて購入。知能犯をテーマにした短編集。解説も良かった。「とにかく犯罪は面白い…と言えば誤解を招きそうだが、人びとが犯罪に興味を抱くのも、犯罪という反社会的、反日常的行為が、人びとの心底に潜在するなにかを、強く揺り動かさずにはおかないからにちがいない。」なにかって何だろう?野次馬的な好奇心?2021/06/23
てらさか
1
どれも読んでいてぐっと引き込まれる犯罪小説。女優志願の女の子の話は同じ女だからか、かわいそうで…。2018/08/07
ミアロ
1
連作短編だけど一貫して登場して来る人物がさいごの数ページしか出てこない(笑)2009/04/22