内容説明
SFが文学の一つのジャンルとして日本に根づくはるか以前から、わが国にも数々のSF作品が存在していた。しかも、それらは、海外SFに比べても、ほとんど遜色のない豊かな内容をもっているのだ。読めば読むほど、知れば知るほど興味つきない日本古典SFに長年とりくみ、画期的労作『日本SFこてん古典』をものにした横田順弥が、若き研究者・会津信吾とともに再び世に問うファン待望の快著。
目次
第1講 空気のなくなる日
第2章 失われた世界へ
第3講 押川春浪新資料発見!
第4講 意外な作家、意外なSF
第5講 馬鹿は死なずに治します
第6講 江戸時代のハチャハチャ小説
第7講 大正時代の少年SF
第8講 奇作・珍作・怪作・盗作
第9講 明治時代の怪奇SF
第10講 山中峯太郎とSF
第11講 「月世界」と「世界未来記」
第12講 忘れられたSF作家村井弦斎
第13講 香山滋とSF
第14講 押川春浪と江見水蔭
第15講 日本のバローズ!?南沢十七
第16講 科学雑誌とSF
第17講 総括日本のSF史
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aminadab
3
追悼の気持ちでこれも初読み。1979~93に徳間書店から出ていた『SFアドベンチャー』に連載。文庫オリジナル。前著とは違い対談形式で、ロートルの横田が新進の會津に研究の現状と新展開を訊くスタイルだが、横田ボケ會津ツッコミの漫才テイストが入っている(たぶん横田の脚色)。仮名遣い・振り仮名完全再現は同じ。私には6章の黄表紙入門が有益だった。15章が例の『緑人の魔都』南澤十七だが、他作品も変。子供向けに書くと文章が乱れてしまう人なんだろうと思った。カパーのカラー書影20点が楽しい。2019/08/11
pn675
3
【まとめ読み企画「横田順彌追悼」その4】前作の最後のほうから名前が出始めた會津信吾との共著。二人の座談会形式で進んでいく。特に「第4講 意外な作家、意外なSF」と「第6講 江戸時代のハチャハチャ小説」が面白い。4講では新田次郎、佐藤春夫、山本周五郎、井伏鱒二、石川達三、山岡荘八らのSFが紹介されており、あの直木三十五のSF観も興味深かった。6講では江戸時代の通俗的な黄表紙の作品の中でSF的なものにスポットを当てている。他にも星一(星新一の父)の『三十年後』の内容が紹介されていたりと中々面白く読めた。2019/02/05
冬至楼均
3
共著になって資料的価値は上がっているか。いずれにしても内容は研究の過渡期の段階。2014/04/01
権三郎
1
江戸末期から現在まで(この本は1988年発行だが)SFの出版が途切れたことはない、との著者の指摘は面白い。2017/09/02
MIRACLE
1
日本古典SFの紹介だが、アマチュアによる雑談レベルの内容だった(こういう輩は自分たちの価値観で作品を評価する傾向がある。そのせいか、やたらに「笑い」たがる)。著者は創作なら、なんでもSFに入れてしまっていて、話にならない。また、横田の空気の読めない言動は、読んでいて不快だった。2013/01/21