内容説明
『日記』に書かれなかったアンネの真実「ドアをしめて、ドアをしめて」それがアンネの最後の言葉だった―。『アンネの日記』が最後に書かれた1944年8月1日から、ベルゲン‐ベルゼン収容所での死の瞬間までの七ヵ月間を、6人の「アンネ」が証言。
目次
序 六人のアンネ・フランク
アンネ・フランクの生涯と歴史的背景
第1章 ハンナー・ピック・ホスラール
第2章 ヤニー・ブランデス
第3章 ラーヒェル・ファン・アメロンヘン
第4章 ブルーメ・エーフェルス
第5章 レニー・ファン・ナールデン
第6章 ロニー・ファン・クレーフ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蘭奢待
34
アンネ周辺の人々が語る強制収容所とホロコースト。共通するのは体制なり権力なりに柔順でなく徹底的に逃げ、抵抗する。強いものに阿らず自分の身を守るために自らの考えを優先し実行に移すという行動力。 逮捕され収容所へ押し込められ、非人間的に扱われ、不条理に選別され、殺されて行く。生き延びてきた人々の勇敢、楽天、反抗、希望。なんと強いことか。 アムステルダムのアンネの家。日本人が来て真面目な顔で参観しカメラであちこち撮影してゆくのが我慢ならない事と言う。戦後のドイツの全てものが大嫌いだという。さもあろう。2019/02/11
けいご
33
肌の色、宗教、言葉、国籍、性別。人の数分違って当たり前なのに人類は何故差別をしたがり排除したがるんだろう?ホロコーストは戦争中の話だけども現代社会になったとて人類の本質は未だに変わっていないと思ってしまうね。戦争の火種は彼方此方で燻っているだけでいつ燃え上がってもおかしくない。そんな気持ちになった1冊でした。いつになったら違う人間同士が認め合う事の出来る世界が来るのだろう。2022/06/17
優希
31
アンネの日記が突如終わったのが気になっていたのですが、アンネと同じ頃に収容所に入った女性たちの話でした。彼女たちはアンネが亡くなるのを目にしてきました。彼女と共に過ごした時間の中で、自分たちにとってのアウシュビッツを語る姿がとても辛いですね。アンネの最期を知っているからこそ語れないこともあり、同時に戦争は大きな傷をも与えたと言えるでしょう。もう2度と同じことは繰り返されてはならないと改めて感じました。戦争は悲劇しか生まないんですね。アウシュビッツの異常な日常は戦地以上に死を約束されているのかもしれません。2014/04/19
扉のこちら側
24
初読。アンネと同じように解放までの7ヵ月を収容所で過ごした女性6人の報告書。戦争は戦場に行かない人々にも悲劇を与える。2013/02/23
kaya
2
アンネと同じ時期を生き抜いた女性たち。生死を分けたものは本当に運としか言いようがないものなんだと思う。どうしてこんなことができたのか、理解はできないけれど、それがあったことは覚えていなきゃいけない。差別の、侮辱の、不条理の芽は、全く消えてしまったわけではないということも。2014/04/28