内容説明
中国人の思考の原流をさぐる。孔子の時代から百家争鳴を経て武帝の時代へ―皮肉な運命に操られる思想家・文人・学者たち…。司馬遷自伝を収録。
目次
喪家の狗(かくして生国を去る―孔子;危険に満たち流浪の旅;愛弟子―顔回・子路;泰山くずれんか―孔子の死;世界を股にかける―子貢)
宿命をおびて(無名を旨として―老子;自由奔放な学―荘子;堯・舜の徳を説く―孟子;晩学の大器―荀子;天地を語る―鄒衍;不朽の兵法書を書いた男―孫子;斉の救世主―孫〓;讒言で死に追いやられた詩人―屈原)
状況に生きる(報酬を断わる誇り―魯仲連;追従を重ねた末に―叔孫通;老いてますます硬骨―轅固生;危険な綱渡り―李少君と文成;出世のための策略―司馬相如;滑稽者の生涯―東方朔;一味ちがう易者―司馬季主;名医の診断―扁鵲)
生き恥をさらして(『史記』に託す―司馬遷自伝;刑余の身にて―任安への返書)
感想・レビュー
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のら
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最終巻。孔子を中心に、老子ら諸子百家の人物と司馬遷自身にまつわる記述。孔子が諸国で用いられず遍歴したとは知っていたが、生命の危機に瀕することになっていたとは! ともあれ、孔子や屈原、呂不韋、韓非子らが不遇の中で未来に託す名著を残したことが、恥辱の人生を送る司馬遷に「生きて史記を書き残す使命」を果たすのに影響を与えたようで、私は不覚にも泣いてしまった。宮刑を処せられたことは知っていたんだけれどもね。司馬遷に比べたら私なぞプチ不遇(病気、退職)なんだが、使命は分からないがとりあえず生き抜こうと思ったぞ。感動2014/07/31