内容説明
欲望と嬌声に彩られた吉原遊廊に狂気に憑かれた男が、いいしれぬ殺意を帯びて徘徊していた。悪徳業者村田屋の中番頭・与作である。花魁・小萩の肉体に狂ったばかりか、袖にされたのに逆上して匕首をかざしたのだ。問一髪、寒月一凍が与作をうちすえた。与作は作事奉行所組頭・押形弥衛門との間に掘割工事をめぐって疑惑があった。当代一人の人気を誇る絵草紙作者・寒月一凍は、江戸八百八町にはびこる悪を斬るため敢然と立った。怒気を含んだ鉄扇がうなりをあげるとき…痛快時代小説巨篇。
目次
あばれ鉄扇
みだれ鉄扇
魑魅狩り
地獄の掟
殺人鬼
鬼子母神