内容説明
「壁崩壊」をめぐる暗黒の権力闘争。最高実力者が切々と明かす戦慄の内幕。
目次
第1章 壁が崩ける時(1989年11月9日早暁;禁足下の東独人民;「壁は即刻開放される」;国境を越えて踊る市民)
第2章 ホネッカー失脚(私は自分の解任を要求する;「ホネッカーの時代」とは何だったか;ワントリッツ・シンドローム;遅れて来る者には人生は罰を与える)
第3章 猶予付きのクラウンプリンス(わが友、そして戦友エゴンに;ホネッカーと共に、そして彼に抗して;クレンツ政権の出発;50日の遺産は何か;欧州の平和と統一ドイツ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
3
ベルリンの壁崩壊時の東ドイツの指導者であり、僅か50日で政権が退陣に追い込まれたエゴン・クレンツの回想録。余り知られていない東ドイツ社会を指導層の目から見た極めて珍しい記録。東西ドイツ統一直後に出た、この本は本人の見解はともあれ、やはりクレンツの「弁明の書」という風に解釈するのが妥当だろうか。ベルリンの壁が解放された際の自分の去就、長らく東ドイツに君臨した指導者エーリヒ・ホーネッカーとの複雑な関係、そして自分の半生などが率直とも言えるし、政治姿勢に関しては言葉を駆使して自分の正当性を主張している。2023/08/12