文春学藝ライブラリー 歴史 30
昭和史と私

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 378p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784168130762
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

紛争で過激派学生と渡り合った後の東大総長も、若き日はマルクス主義の学生だった。希代の歴史学者が自らの半生とともに綴る昭和史。のちに東大総長となる著者が中学3年生のとき、昭和天皇は即位した。金融恐慌と山東出兵、戦争にむけて加速しつつある時代に著者は青春期を過ごす。

そして63年後、天皇は崩御し、同じ年、著者は参議院議員の任期を終えた。ベルリンの壁は崩壊し、第二次大戦の結果うまれた冷戦の世界は終焉を迎えた。

ここで自らの「昭和とともに生きた半生」を振り返り、同時に昭和とは何だかっのかを総括するため、本書を執筆する。

金融恐慌と山東出兵で始まった昭和。知識人の間ではマルクス主義が台頭し、多感な青年であった著者も当選のごとくこれに心酔する。戦時中は海軍に応召され、戦後も共産主義活動に参加するが、次第に現実との齟齬に気づきはじめ、共産主義から離れていく。

のちに西洋史家の泰斗となる筆者は、激動の世界情勢と、翻弄される日本を俯瞰して描くとともに、この間に自らがどのように感じ、生きたたかを活き活きと活写する。立体的な構成により、読者は昭和という時代を我が物のように追体験することができる。

歴史学者、東大教授となり、文学部長であったとき、安保闘争が起こり、奇しくも左翼活動家の学生たちと、大学の代表者として対峙する立場となっていた。力で要求を実現しようとする全共闘の学生たちにより173時間にわたってキャンパス内に軟禁されるが。あくまで筋を通し、暴力で国家を変えることはできないことえを身をもって示す。

東大総長を務めたのち、自民党参議院議員に。天皇崩御に臨んでは、天皇賛美を批判する共産党「赤旗」に対し「文藝春秋」誌上で反論、この論争は大きな反響を呼んだ。

昭和に続く平成も終わろうとしている今こそ待望の復刻版。「昭和」を多面的・重層的に振り返る歴史学者の視点から学ぶことはあまりに多い。

林 健太郎[ハヤシ ケンタロウ]
著・文・その他

内容説明

歴史学の泰斗が、自らの半生を重ね合わせながら活写した激動の昭和史。東大紛争で過激派学生と堂々と渡り合ったのちの東大総長も、若き日はマルクス主義に心酔する学生だった。時代の空気を肌で感じて生きた筆者が、金融恐慌から太平洋戦争、冷戦と安保騒動、ベルリンの壁崩壊までを俯瞰的に描いた名著。

目次

昭和の幕開け
南京事件と山東出兵
満州某重大事件と天皇の悲劇
「旧制高校」というもの
マルクス主義に心酔した頃
西洋史との出会いと滝川事件
二・二六事件と昭和天皇の決断
スペイン内乱とシナ事変
東大経済学部の内紛
太平洋戦争と私の召集
敗戦から戦後へ
共産党シンパから社会党シンパに
戦後日本の大きな岐路
冷戦のはじまり
清水幾太郎と全面講和運動
進歩的文化人との最初の論争
六〇年安保騒動の前夜
二年間の欧米留学
ベルリンに壁がつくられた日
安保騒動後の日本、そして世界
東大紛争百七十三時間の軟禁
昭和は終わり ベルリンの壁は崩れた

著者等紹介

林健太郎[ハヤシケンタロウ]
大正2(1913)年1月2日生まれ。歴史学者。東大名誉教授。東京府立第六中学校(現在の都立新宿高校)、第一高等学校を経て、昭和10年東京帝国大学を卒業。その後、一高教授となり、22年東大助教授、29年教授となる。43年東大紛争当時は、文学部長として活躍。48年に東大総長となる。その後、日本育英会会長、国際交流基金理事長、自民党参議院議員等を歴任。平成16(2004)年8月10日没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

この商品が入っている本棚

1 ~ 1件/全1件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さきん

26
講座派と労農派、レーニン派とスターリン派、ソ連派と中国派と限りなく抗争を続ける様子、または戦後のドイツ留学で知るソ連の蛮行を耳にして転向していく著者の思想変遷を語る。ここまで自分を客観視できないと、拉致事件時の尋問を超えるのも難しかったと思った。それにしても40過ぎまでイデオロギーに囚われていて、そこから抜け出すのは大変な努力を要すると感じた。2021/06/27

新 フミト

0
昭和という時代と共に生きた知識人であるから、分かりやすく昭和に起きた事件の数々を説明できるのだと思いました。特に戦後の共産主義運動や東大紛争の記載が知らないことが多くて興味深く読めました。2019/07/25

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/13091836
  • ご注意事項